2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K02825
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐久間 まゆみ 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 名誉教授 (30153943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 圭 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究領域, 教授 (40313449)
藤村 知子 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 教授 (20229040)
渡辺 文生 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (00212324)
宮田 公治 日本大学, 工学部, 准教授 (40308268)
宮澤 太聡 中京大学, 文学部, 准教授 (90579161)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 受講者の要約力 / 人文学系講義の理解調査 / 講義の「話段」調査 / 「文章型・談話型」 / 「情報伝達単位(CU)」 / 「日本語機能文型(FSP)」 / 大学学部留学生教育 / アカデミック・ジャパニーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主な目的は、学部留学生による日本語の講義理解における要約力の解明にある。「要約力」とは受講内容の要点を日本語で簡潔に表現するコミュニケーション能力である。 平成30年度は、2種の人文学系講義G・Hにおける3種の理解データ(①受講ノート、受講後の②要約文、③インタビュー)の分析を継続した。3種の調査対象(日本語が母語の「大学生」と中国語・韓国語が母語の上級日本語学習者の「留学生」)による理解データにおける講義G・Hの「情報伝達単位(CU)」の残存傾向から、日本語の講義理解の要約力を、1.理解類型と表現類型、2.①受講ノートの「過程的理解」と受講後の②要約文、③インタビューの「結果的理解」を比較し、留学生の講義理解における困難点と要因の解明を継続してきた。 3種の理解データの集団別の量的分析と受講者別の質的分析を通して、2種の講義の原話の表現特性を分析し、留学生の講義理解における要約力の課題と解決策を検討してきた。 また、平成28年度に大学生と留学生対象の2種の講義の「話段調査」を実施し、29年度は講義G、30年度は講義Hの結果を、講義の談話構造(話段と中心文)の観点から分析した。 日本語学習者の話題区分の指摘は、原話の話段をある程度反映するが、日本語母語話者よりずれが大きく、原話の高次元の話段の中心文を意識できる人は原話の話段の把握も適切なことを明らかにした。そこで、日本語教育の講義の理解支援には、話段に基づいて話題を適切に理解し、各話段の中心文を的確に把握する方法を指導する必要があることを提案した。 さらに、講義の原話と理解データの要約文の表現特性の分析も継続して、講義の要点を把握する際の指標となる、1.講義内容を話段にまとめる表現、2. 要約文に有意に多く残存する重要情報の表現について、「日本語機能文型(FSP)」「情報伝達単位(CU)」「メタ言語表現」を学習事項とする講義理解の教材開発の可能性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2種の人文学系講義G・Hの3種の理解データ(①受講ノート、受講後の②要約文、③インタビュー)の分析に用いる、講義の談話の構成要素である「情報伝達単位(CU)」の原話残存認定作業が遅れている。3種の理解データにおける要約文の理解類型と表現類型の解明、大学生と留学生の「情報伝達単位(CU)」の原話残存傾向の比較、3種の理解データ相互の比較検討を行い、日本語の講義理解の要約力を実証的に解明するには、理解データの原話残存認定作業の完了が急務である。 また、大学学部留学生の講義理解を支援する日本語の要約力の教育には、日本語の理解力と表現力に加え、「論理的思考力」に関するメタ認知能力の解明が不可欠なことから、本研究の分析結果を再検討するための期間延長を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
講義理解における要約力を解明する際の基礎データとなる3種の理解データの原話残存認定作業が完了していないため、各種の理解データを用いた分析が暫定的なものとなっている。その背景として、原話残存認定作業はかなりの専門的知識と技術を必要とするため、アルバイト要員等を増やすことが難しいということがある。 その解決方法として、以下の2点が考えられる。まず、①作業コストを再検討して、優先順位を設ける。原話残存認定作業が完了した大学生のデータから分析することにより、受講者の講義理解の傾向を把握して、それと比較しながら、留学生の講義理解の困難点を解明する。また、②新しい作業者に対する熟練者による指導助言を行う。作業グループに熟練者と新しい作業者を配置することにより、作業人員の不足を解消して、原話残存認定作業の結果の精度を保持する。 さらに、原話残存認定作業の結果を効率的に分析するために、以下の2点を実行する。③講義理解における留学生の「要約力」の課題を明らかにするという観点から、各ワーキング・グループで、原話残存認定作業が完了したデータを用いて結果の分析と考察を進める。④定例研究会における各グループの作業の進捗状況と研究成果の報告によって、グループ内だけでなく、グループ相互のコミュニケーションを密にする。今後も、基礎データの完了と結果の分析を相互にフィードバックしながら同時進行していく。 「話段調査」による大学生と留学生の講義の内容区分の結果について、2種の講義の談話の「話段」と「中心文」の分析、および、3種の調査対象と理解データにおける「情報伝達単位(CU)」「日本語機能文型(FSP)」「メタ言語表現」の残存傾向の分析結果を総合して考察し、特に留学生の講義理解の要約力の問題に対する、講義理解の支援方法を提案する。
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Causes of Carryover |
(理由)研究代表者が昨年度定年退職したことにより、研究室等の主要な研究遂行の拠点を失い、調査データの処理と結果の分析が遅れたこと、また、研究分担者も、本務の役職上の多忙等により、研究相互の十分な連携が図れなかったことから、研究成果のまとめの再検討が必要になり、本研究の期間延長を申請し、予算額の407,700円を繰り越した。 (使用計画)次年度は、①本研究の成果をまとめるために、定例研究会を引き続き早稲田大学において実施するための会合費・旅費として、②各種の調査結果の分析と考察を促進する上で不可欠な専門的知識の提供を受けるための費用として、③研究成果報告書を刊行するための印刷・製本費(250,000円)として、補助金を使用する計画である。また、④残額を研究分担者等とデータを共有するためのハードディスク等の消耗品等として使用する予定である。
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Research Products
(8 results)