2019 Fiscal Year Annual Research Report
Changes in Korean Society and the Language Use in Korean-Japanese Families - Focusing on the Japanese Language Heritage by Japanese Mothers -
Project/Area Number |
16K02830
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
花井 理香 関西学院大学, 言語コミュニケーション文化研究科, 研究科研究員 (60745967)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 言語継承 / 国際結婚 / 多文化家族 / 多文化共生 / 日本語の継承 / 日本人母 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、少数派言語を母語に持つ親の子どもへの言語継承という視点から、国際結婚家庭が増加し、2008年に「多文化家族支援法」が施行された韓国に居住する日本人母を対象に、日本語の継承に影響を与える要因を探ることを目的としている。 延長を申請した、最終年度となる2019年度は、言語継承に影響を与えると考えられる社会的要因にあたる政府の政策や社会的支援を中心に調査を実施した。本調査では、外国人への支援活動は、どのように実施されているのかという視点から、2018年からフィールド調査を続けている移住民のために2004年に設立された「移住民放送」の関係者の面接およびフィールド調査から、支援の重要性とその支援を支えるものを探ることとした。 調査結果からは、「移住民放送」が、韓国での差別や偏見のない社会をめざし、彼らの力強い声を社会に伝達するという目的は、メディア教育という支援により実施されていた。メディアを通じて、外国人を支援していくということは、彼らの声を母語で発信するのみならず、彼らの活躍できる場を提供し、当事者の韓国生活・適応に大きく影響を及ぼしていると考えられた。支援者の外国人との同等な社会を目指すという目標については、一般放送を通じての差別用語使用や偏見など、社会での移住民との共存に対しての認識がまだ不足していると考えられたが、支援者たちの活動・信念が15年もの間、引き継がれ、移住民たちの活躍できる場を提供し、大きな支援の一つになっていることが明らかとなった。このような支援は、今後、韓国社会を担う人々への大きな原動力となるが、支援には、政府の関与が大きく影響を及ぼす。運営資金の問題なども含め、これからも支援活動を注視していくことを今後の課題としたい。
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