Speech motor learning in Japanese English learners -practice amount and accelerant factors

2019 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 16K02850
• Research Institution: Prefectural University of Hiroshima
• Principal Investigator: 小澤 由嗣 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (60280210)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: 運動学習 / 調音 / 日本人英語学習者 / 練習量 / 学習促進条件

Outline of Annual Research Achievements

今年度は、これまでの必要練習量に関する研究成果をふまえて、学習の促進条件について検討を進めた。運動学習の研究では、学習者の注意の対象を、自身の身体動作に向けた場合に比べて、動作が及ぼす影響に向けた場合のほうがより効果的である可能性が指摘されている。しかし、先行研究は上下肢の運動を対象としており、調音運動に関する検討はほとんどなされていない。そこで本研究では、日本人英語学習者を対象に、注意のフォーカスの違いが及ぼす影響を検討した。被験者は、海外長期滞在歴がなく、学校教育以外での特別な英語の調音の学習を行ったことがない大学生（保健学系）とした。/v/の集中的調音練習において、被験者をベースラインテストの結果をもとにほぼ均質な２群、すなわち学習者の注意を内的フォーカス＝身体の動きに向ける群（上顎前歯と下口唇で狭めを作り、呼気送出しているかを確認させた)と、外的フォーカス＝身体の動きの影響に向ける群(リアルタイム・スペクトログラムを用いて摩擦雑音成分の有無を視覚的に確認させた)に分けて、練習語50語について連続3日間(計750回)の練習を実施した。また学習条件には、練習語における目標音の語内位置に関しては「多様（variable）条件」、練習中のフィードバックについては「要約フィードバック条件」を併用することとした。その結果、練習5日後テストの外的群の非練習語における正調音率（平均90.3％）は内的群（平均76.3％）に比べて統計学的に有意に高く、1ヶ月後の保持テストおよび文レベルの転移テストにおいても高い傾向が示された。これは、Wulfらの運動制約仮説を支持する知見と考えられ、調音運動学習においても他の身体運動と同様に、学習者の注意のフォーカスを、運動が及ぼす結果に向けた練習を行うことで、より学習が促進される可能性が示唆された。