2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K02851
|
Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
佐竹 由帆 駿河台大学, 現代文化学部, 准教授 (90754648)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | コーパス言語学 / Data-driven-learning / DDL / エラー・コレクション / 英作文 / 英語教育 / フィードバック / 学習者オートノミー |
Outline of Annual Research Achievements |
コーパスを語学学習に使用するデータ駆動型学習 (Data-driven Learning: DDL) の実践は近年多いが、コーパス使用が語学学習に及ぼす効果はまだ十分検証されていない。コーパスで大量に用例を見ることがなぜ語学学習に効果的か、語学学習のどの要素に効果があるかについて実証的検証が必要である。本研究では、学習者が英作文の誤りを修正するためにコーパスを使用する時、データの何を見てどのように利用するかを観察し、語学学習にコーパスを利用して得られる具体的な効果の解明を目指す。研究の方法としては、コーパスの特性を明らかにするために、辞書使用のデータ利用法と比較考察する。コーパス使用の効果を活用した、有効な作文指導法の確立を目的とする。 平成28年度は、約30名の欧州共通言語参照枠 (CEFR) B1レベルの被験者から収集した英作文のデータについて、被験者が修正した箇所に関し、正しく直せているか、何を参照したか、誤っている品詞の種類、誤りの種類、誤りの指摘は教員によるか他の被験者によるか等について記述するアノテーション(タグ付け)を行った。タグの種類や付け方については、エラータグ付スピーキングコーパスを構築した和泉他(2004)を参考に、いくつか本研究に必要なエラータグを追加して使用した。 アノテーションを行った英作文データについて、1つの英作文データを1つのテキストファイルに保存し、全ファイルを統合してエラータグ付き学習者英作文コーパスを構築した。オリジナルの英作文データは手を加えずに1つずつテキストファイルに保存し、全ファイルを統合してオリジナルの学習者英作文コーパスを構築した後、エラータグを検索して、 被験者がどのような種類の誤りどれだけ正しく直せているか集計し、量的分析に着手した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初はデータ分析は平成29年度以降に着手する予定だったが、平成28年度に分析を開始することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は下記の項目について量的分析を行う。(1)品詞や誤りの種類によって誤りを修正できる割合に違いはあるか。(2)品詞や誤りの種類によって誤りを修正できる割合の通時的変化に違いはあるか。(3)教員が指摘する誤りと学生が指摘する誤りには、品詞的・文法的・語彙的特徴があるか。(4)教員による誤りの指摘と学生による誤りの指摘で、誤りを修正できる割合に違いはあるか。(5)教員による誤りの指摘と学生による誤りの指摘で、誤りを修正できる割合の通時的変化に違いはあるか。 量的分析終了後その結果をふまえ、被験者が参照した語(句)・例文のデータと照らし合わせて、データの何を参照したことで上記の量的分析の結果が生じたかについて、質的な分析を行う。
|
Causes of Carryover |
国際学会発表旅費として支出予定であった金額を、所属大学からの補助金でまかなうことができたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該研究の関連研究領域は複数にわたるため、先行文献をさらに収集する予定である。また、関連学会に積極的に参加し、当該領域の最新研究に関する情報収集に努めたい。
|