2017 Fiscal Year Research-status Report
コーパス分析に基づくモダリティの研究と英語教育への応用
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16K02856
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
藤本 和子 創価大学, 文学部, 教授 (20350499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 正博 岡山理科大学, 経営学部, 教授 (90279042)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | モダリティ表現 / 助動詞 / 副詞 / 学習英文法 / 英文法指導法 / 学習指導要領 / コーパス分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、モダリティを表す言語表現のうち、副詞(句)と助動詞を中心に研究を行った。海外共同研究者のランカスター大学教員Willem Hollmann氏の研究助言を受けながら、Longman Learners' Corpus、Brown Family of Corporaなどの分析を行い、研究を進めた。副詞(句)は、「確実性」や「可能性」を表すものについて、学習者コーパスと母語話者コーパスを比較し、日本人英語学習者の使用傾向を分析した。日本人英語学習者が特定の副詞(句)を頻繁に使用すること、話し言葉と書き言葉を混同する傾向があること、学習者の習熟度レベルによって使用傾向の違いが見られること、英語表現のフォーマリティの違いの指導の提案などについて論文にまとめた。さらに、主張や見解の根拠などを述べる時に用いられる副詞(句)の使用について分析し、日本人英語学習者が、個人的な意見を論の根拠として用いる傾向があることなどを論文にまとめた。助動詞は、意味カテゴリーなどについて、Hollmann氏とディスカッションを重ね、言語理論に基づいた有意義な助言や提案を受けることができた。「可能性」を表す助動詞について、研究代表者が作成した日本人大学生のアカデミック・ライティングコーパス(平成25年度~平成27年度:基盤研究(C))と母語話者コーパスの比較分析により、日本人英語学習者の使用傾向をつかむことができた。日本人英語学習者の副詞の使用傾向と教科書の関係などについて、学習者コーパス、母語話者コーパス、研究代表者が作成した高等学校英語教科書コーパスの比較分析結果に基づき、国際学会において発表し、フィードバックを得るとともに、コーパスに基づく最新の研究動向と知見を学び、今後の研究の展望につなげることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高等学校学習指導要領、高等学校学習指導要領解説の「言語の使用場面」、「言語の働き」、「言語材料(文法事項)」についての記述に照らしながら、可能性などについて、心的態度を表すために重要なモダリティ表現の中から、助動詞と副詞を中心に、学習者コーパス、母語話者コーパス、高等学校教科書コーパスの比較分析に基づき、日本人英語学習者の言語使用傾向をつかみ、平成29年度は、副詞(句)について、学習者の使用傾向や指導内容の提案について論文にまとめることができた。高等学校教科書コーパス作成では、教科書全国占有率の動向を踏まえて選択した教科書から、「英語表現Ⅱ」と「コミュニケーション英語Ⅲ」のコーパスを作成することができた。今後、これらのコーパスも分析することにより、科目の特性や、学習段階の違いにおける教科書のモダリティ表現の扱いも調査できると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、日本人英語学習者のモダリティ表現の使用傾向の分析を続けながら、高等学校英語教科書から作成した教科書コーパスをさらに分析し、高等学校の英語教科書で、助動詞や副詞などのモダリティ表現がどのように扱われているかを分析することにより、教科書の改善点も提案していきたい。日本人英語学習者の助動詞や副詞のモダリティ表現の使用傾向をふまえ、モダリティ表現の関連的、体系的な指導内容の提示をしていきたい。
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