2016 Fiscal Year Research-status Report
ブレンディッドラーニング時代における英語対面授業の意義と教師の役割に関する研究
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16K02858
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
小栗 成子 中部大学, 語学センター, 教授 (70329671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 鉄生 中部大学, 語学センター, 助手 (20762313)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ブレンディッドラーニング / カリキュラム構築 / 対面授業の意義 / eラーニング活用 / 教師の役割 / 英語コミュニケーション能力 / 発音トレーニング / 教材の適合化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、eラーニングのブレンドによる対面授業の意義の変容と教師の役割の変化について国際学会3件、国内での発表1件、講演2件、合計6件の成果発表ならびに中間報告を国内外で行った。また、雑誌への投稿を1件行った。
“Breaking the Silence: Between Prosody Focused Training and Listening Skills Development for Beginners”(JALT CALL)では、発話トレーニング方法に焦点をあて、リスニング能力を高めつつ、英語発話に対する抵抗感を減らすために発音とプロソディ強化を行う理由とその成果について中間報告した。“Turning Anxiety to Hope: The roles of teachers in a new blended EFL learning” (PAAL)では、英語学習に対して不安感や嫌悪感が強い学習者に対する足場かけの必要性に焦点を当て、対面授業とeラーニングでの個別学習の使い分け、教材の適合化と教師の役割について実践方法を報告をした。“Practice in Practice, Not in Theory: How blended learning supports intake in EFL classes” (CLaSIC 2016)においては、時間が限られた対面授業の質向上のための教師の役割に焦点を当て、インテイクを促すためには教師が対面授業で費やしてしまう時間を極力削減し、それを学習者の運用練習時間に当てる実践方法を発表した。
「理系学科における英語教育モデルの再構築:2年目までの成果とこれからの課題」(平私立大学情報教育協会)では、学習や運用練習時間を最大限にするためのブレンド型教育の特徴と週一回の対面授業の質向上に焦点を当て発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、将来工学者としての英語運用を叶えるためにはどのようなブレンディッドラーニン グが最適であるのか、対面授業と個別学習を最適化し、学習目標達成の可能性を引き出すための 教師の役割とは何であるのかを明らかにすることである。平成28年度の研究では、計画に基づき研究対象カリキュラムの達成目標と学習者の実態に適した教材選択、授業計画の作成・実 践・修正・改良といった PDCA サイクル、特に、教材の適合化や教授法選択における教員の役割に焦点を当てて考察した。
1年-2年次の授業実践に関しては、カリキュラムが目標としている以下を実践し、年度中間と年度末に3学年(約240名)を対象に意識調査を実施した。 ①英語に対する嫌悪感や抵抗感の減らす、 ②英語擬似初心者から脱するための足場かけを行う、 ③コミュニケーションに不可欠な「聞く」力の基盤育成を最優先とし、発話への抵抗感を減少させコミュニケーションしようとする素地を築き、「読もう」とする意欲を育てる、 ④全ての学習に通じる主体的な学習意欲、自己調整力の形成を開始する、 ⑤異文化受容力・異文化適応力の育成を開始する。
英語運用能力の定着には、(a)インプット、(b)プラクティス、(c)インテイクと振り返り、(d)インプット強化 しとアウトプット力向上といった、循環する学習プロセスが 必要である。(a)から(d)が循環しており、インプット・アウトプット・ プラクティス・インテイクが交差するところに e ラーニング が位置し、学習を強化できるか、苦手感が強い学習者でも(a)から(d)をスパイラル的に積み 重ねさせる際、教師はどのような役割を担っているのかを考察した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度以降は、次の5点に焦点を当てて授業観察を継続し、学習効果、学習者の変容を観察し、ブレンデ ィッドラーニングを用いてしか実現できない授業のありかたを探究する。
a) 発音矯正指導によるスピーキング/リスニングへの抵抗感の軽減:語彙・文・パッセ ージの発音や音読の徹底指導と、スピーキングに対する抵抗感の軽減、発音時のプロ ソディ指導によるリスニング力の改善について教授法を明らかにする。b) 語彙指導の工夫による語彙習得力の向上:受容語彙力(receptive vocabulary)と発 表語彙(productive vocabulary)の指導焦点の違い、使用頻度の高い語彙から習得 させようとする指導順序などを含め、語彙への抵抗感を自己効力感にシフトさせるた めの語彙指導あり方を、辞書指導も含め考察する。c) 文法指導における文法運用能力の向上:知識としてではなく、運用力とするために、 使用頻度の高い文法から習得させるための指導順序や定着までのトレーニング方法、 教材選定、足場かけのあり方などを検討する。d) ICT活用による学習形態の多様化:対面授業時間内における学習内容の質を高め、個 人の習熟度に沿った学習機会を保障することにおけるICT活用のあり方について検討 し、CALL教室や演習室といった学習環境の適性についても明らかにする。 e) 自己調整能力の育成支援:自主学習の動機づけとその維持に役立てるため、すでに導 入している教材作成・学習 web 環境「Glexa」(株式会社Version 2)を活用した学習の高濃度化手法について学習効果をもとに明らかにする。また、英語eラーニング 教材「ATR CALL BRIX」(内田洋行株式会社)の活用方法とリスニング・スピーキン グ素地力育成の効果についても検証する。
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Causes of Carryover |
授業週の終了まで稼働中のサーバーに本研究対象である英作文添削道場のモジュール適用を行うことが不可能であったため、年度末まで適用作業の実施を待つ必要があった。そのため年度内に費用の支払いを行うことができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記作業は、計画年度である昨年度に完了しているため、今年度4月に実施費用の支払いをすみやかに行う。
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Research Products
(7 results)