2017 Fiscal Year Research-status Report
内容言語統合型学習(CLIL)による高校生の英語力および国際的素養の育成
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16K02859
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
工藤 泰三 名古屋学院大学, 国際文化学部, 講師 (60734209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹島 茂 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 教授 (80301464)
佐藤 真久 東京都市大学, 環境学部, 教授 (00360800)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 内容言語統合型学習(CLIL) / 高次思考の活性化 / 英語力の伸長 / 地球的課題に対する意識の変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度においては、高校生が英語力を高めつつ地球的課題に対する理解を深め、さらに課題の解決に対し主体的に考えることができるようになることをねらった教育プログラムの開発のための試行授業の実施、その試行授業を受講した高校生の英語力および国際的素養の変容を見るためのアンケート調査の実施、そしてそれらに並行し、開発しようとしているプログラムの内容の充実のための大学生を対象とした授業実践、アンケート調査、コメントの収集を中心に研究活動を進めた。実施回数及び時間は、高校生を対象とした試行授業は英語力調査のためのテスト実施を含め計5回(計500分)、アンケート調査2回、大学生を対象とした授業実践計120回(計約7,000分)であった。また、成果の公表のための活動としては、学会等における発表が5件(うち1件は研究協力者との共同発表)、論文1件であった。 平成29年度の研究活動を通して得られた成果として最も大きな点は、内容言語統合型学習(CLIL)によって、従来の英語指導と同様の英語学習成果が得られるとともに、学習者の認知プロセス、特にBloomが1956年に示し様々な研究で拠り所とされている思考の分類(Taxonomy)における高次思考(Analyzing(分析)、Evaluating(評価)、Creating(創造))が大きく活性化されることが示唆されたことである(工藤、2018)。このことは、平成30年3月に告示された新高等学校学習指導要領にも謳われている「主体的・対話的で深い学び」を高等学校の外国語科あるいは他の学校設定科目等の授業において実現することの可能性を示したものとして評価に値すると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度においては、高等学校における内容言語統合型学習(CLIL)の実践に関する情報収集を全国の高等学校を対象としたアンケート調査等によって行い、その後の発表や論文などによってその成果を公表することができた。また平成29年度においては、高校生を対象とした試行授業・テストによる英語力の調査・国際的素養の変容を見るためのアンケート調査、そして大学生を対象とした授業実践・アンケート調査・コメントの収集を行うことができた。成果の公表のための活動も、学会等における発表を5件行うとともに、論文を1件発表し、特に発表については予定を上回る回数の実現を見た。これらのことから、本研究課題における研究活動はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度においては、29年度と同様に高等学校および大学における試行授業を積み重ねることにより、英語力と国際的素養の双方を高めるための教育プログラムの開発に向けた情報収集を継続的に行うことを中心に進めながら、合わせて本研究に対し好意的である全国の高等学校の教諭に協力を仰ぎながら、さまざまな高等学校においてこれまで本研究活動で作り上げてきた活動・指導例を試行していただき、そしてフィードバックをいただきながらプログラム内容の精選に努めていく。さらには、アンケート調査やインタビュー調査により、授業内容の改善・充実を図るとともに、前年度に試行授業を受講した生徒・学生が今年度にどのような変容を示すかを合わせて調査していく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた最も大きな要因は、平成29年度に実施した外部業者による英語力テストの実施において、当初は一般の利用と同程度の費用が掛かるものと想定していたが、研究活動のための使用に対する減額措置をいただき、実際はその費用が予想よりもかなり低く抑えられたことである。次年度以降はこの分を開発中の教材の作成費用(印刷・DVD作成等を含む)・実践記録集積のための物品購入および資料整理作業のための費用等に充当していく予定である。
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