2016 Fiscal Year Research-status Report
高専生の汎用的技能養成プログラムの開発-英語教育と課外活動からのアプローチ-
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16K02871
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
大湊 佳宏 長岡工業高等専門学校, 一般教育科, 准教授 (70413755)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 汎用性スキル / 課外活動 / 英語プレゼン指導 / Uitemate / 水泳部 |
Outline of Annual Research Achievements |
高専教育に求められる社会のニーズは、専門的な技術者指導だけでなく、学生が将来の自分自身を下支えする基本的なジェネリックスキル(GS)や人間力にもある。しかし後者に関して具体的な指導方法の議論・実践は、未だに不十分である。本研究は、英語教育と課外活動の2つの側面から、高専生のジェネリックスキルを伸長させることを目的とし、次の2点に関しての調査・開発を行う。(1)英語授業&課外活動の接点を探り、社会認知学的にその接点を分析調査する。(2)GS向上のための英語授業と課外活動の融合教育実践モデルを開発する。研究初年度にあたる、平成28年度の当初の予定は、溝上(2008)の研究手法を参考にして高専生の特徴を把握することであった。卒業する5年生を対象にアンケートを実施し、1年生にも彼らの中学校時代の振り返りを基に、彼らの経験と養われた能力についての調査を行う予定であった。これらは毎年継続し、高専におけるGS教育や人間力の向上のための教育実践の参考とする。また、正課外教育の側面からも調査を行い水泳部における、競技力向上以外に焦点を当て、着衣泳国際普及活動(Uitemate)への参加と水泳部員の英語力向上活動の融合の可能性を探った。低学年の英語授業においては、高等学校と同じ検定教科書を使用しており、教科書内に設定済みのタスクを再利用することも含め、協同学習や社会認知学的側面からGS向上のためのヒントを発掘し提案する予定である。進捗状況としては、平成28年度は以上の3つの柱の中では、アンケート作成&実施以外の点は計画通りに順調に進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に実施予定であった3つの項目は(1)勤務校における学生の汎用性スキル(GS)と人間力に関するアンケート実態調査、(2)課外活動(水泳部)においての、競技力向上以外の面に焦点を当てる活動への参加、(3)英語教育・授業の場面でのGS育成のためのヒントの発掘であった。(1)に関しては、溝上(2008)の手法を参考にし、高専の学生用にアレンジしたアンケート用紙の作成までが終了している。当初高専の1年生と5年生を対象に、アンケートを実験的に実施予定であったが、アンケート作成に想像以上の時間を割かれ、実施クラスの選定や、協力教員を得る段階で前に進まず停滞している。(2)に関しては、斎藤秀俊氏(水難学会会長)の協力を得て、高専4年生の学生(5名)に、水難救助に対する知識を身に付けさせ、着衣泳の国際普及(Uitemate)のタスクを与え、平成28年11月にフィリピンのマニラとカリボで行われた活動に参加させた。この活動により、英語教育と課外活動を結ぶ具体的なラインを確保することができた。(3)に関しては、高専3学年の英語コミュニケーション英語Ⅱの教科書を使用し、学生自身の「考え」や「思考」を大切にし授業展開を、学年共通で実施を開始した。大下 他(2014)の実践例を参考にし、同学年他学科胸中で実践を続けている。教員と学生の関係性(ラポール)や、教員の期待と学生の英語力のずれなど、多少の修正課題は見られるものの、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目以降は、対話活動を中心に、グループディスカッションやディベートの実践に加え、Story Re-telling活動、Paraphrase、Summarize等様々活動を含めることにより、より高次な思考を学生に求める。教員と共に、学生も英語を使用する場面を立案、実践する。既存の授業とのバランスを考えながらも、実験的に本研究の目的遂行に特化した授業を設け調査・実践する。調査・実践の対象や方法など、最善策を探る方向で計画している。GSと人間力に関する基礎調査も、早急に進める必要がある。アンケート調査の早期実施を視野に入れ、アンケート回収後、調査・分析結果を学校運営サイドに絶極的に開示・説明し協力体制を確立する。また、可能な限りGSと人間力の育成 課外活動改善案の作成を行う予定である。部活動指導(競泳指導:水泳部)を継続しながら、日本赤十字水上安全法講習会への参加を継続。着衣泳のアセアン諸国での提唱活動(Uitemate)を具体的な指導と位置付け調査、検証する。
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Causes of Carryover |
2016年度に開催された水難学会国際ワークショップの参加予定学生数(4名)が1名増員となり、さらに、ワークショップと並列で開催されるUitemate指導員養成講習の開催が2都市(マニラとカリボ)での開催となったために、旅費の支出が増大した。そのため、当初購入予定であった、データ処理・動画処理用PCや、防水機能をもったビデオカメラの購入、アンケート処理用のマークシートリーダー機の購入を見送り、その増加分にあてた。結果として次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も水難学会国際ワークショップへの参加を計画しているが、当初の計画人数よりも1名程度増加することが見込まれている。Uitemate活動における海外の滞在期間を短縮し、必要コストを下げるなどして対応するが、生じた次年度使用額をこの旅費に当て、当初の計画通りに進める予定である。
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