2016 Fiscal Year Research-status Report
地域創生に貢献する高専グローバルエンジニア育成のための教養教育システム構築
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16K02872
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Research Institution | Fukui National College of Technology |
Principal Investigator |
原口 治 福井工業高等専門学校, 一般科目(人文系), 教授 (50280384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手嶋 泰伸 福井工業高等専門学校, 一般科目(人文系), 講師 (20707517)
藤田 卓郎 福井工業高等専門学校, 一般科目(人文系), 講師 (70735125)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 人文学 / 外国語教育 / 教授法 / カリキュラム論 / 地域貢献 / ICT / グローバル教育 / 教養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高専の特色を生かしたグローバルエンジニア育成に資する工学教養教育(リベラルアーツ)の在り方について、地域貢献と国際性育成を重視した各種研究実践を行なうことを全体構想としている。具体的には、①地域創生型工学教養教育の定義付け。②高専教養教育のモデル研究。③高専専門,一般科目教員相互の学科横断型連携による共同研究を通しての英語教育を中心とした融合新教養科目設置及び実施。④工学教養教育を主眼とした英語教育テキストの出版準備。⑤グローバルエンジニア育成に必要な工学教養教育モデルの提示,の5点を主要研究目的としている。原口はPBLとAL、地域貢献等等に言及した論文5本(含国際学会)と学会発表講演5件(国際学会発表3件を含む)を公表した。分担者である手嶋は、カリキュラム改善のために、以下のような調査を行った。まず、高専制度の成立過程から現行カリキュラムの特徴を浮き彫りにすることを目指し、国立公文書館に所蔵されている史料を現地に出張して確認、複写した。その際、ウェブサイト上のデジタルアーカイブで閲覧できる史料はそこで確認し、調査の効率化を図っている。そこで収集した史料について分析をした結果、高専制度の成立過程について、経済界の要求に基づいて設立されたという一般的なイメージだけではとらえられない歴史像が抽出された。すなわち、経済界・文部省・大学関係者・短大関係者が中央教育審議会という政治的アリーナのもとで、高等教育機関における「教養」をどのようにとらえるのかを激しく議論していたことが判明した。同じく分担者の藤田は、本校HPページ上にて、学生、教職員による英語使用体験エッセイを掲載したり、リスニング教材の開発を行ったりする等のICTを活用した学習支援を行ない、今後は学生と協同で英語学習コンテンツの開発を計画している。以上が本研究実績の概要であり、研究計画は概ね順調に進展している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原口はPBLとAL、地域貢献等に言及した論文5本(含国際学会)と学会発表講演5件(国際学会発表3件を含む)を公表した。分担者の手嶋はカリキュラム改善のために、以下のような調査を行った。まず、高専制度の成立過程から現行カリキュラムの特徴を浮き彫りにすることを目指し、国立公文書館に所蔵されている史料を現地に出張して確認、複写した。その際、ウェブサイト上のデジタルアーカイブで閲覧できる史料はそこで確認し、調査の効率化を図っている。そこで収集した史料について分析をした結果、高専制度の成立過程について、経済界の要求に基づいて設立されたという一般的なイメージだけではとらえられない歴史像が抽出された。すなわち、経済界・文部省・大学関係者・短大関係者が中央教育審議会という政治的アリーナのもとで、高等教育機関における「教養」をどのようにとらえるのかを激しく議論していたことが判明した。ここから、現行のカリキュラムの原型となるものは、そうした思惑の違う政治主体間の妥協の産物であることがわかり、こうした知見は今後、カリキュラム改定をしていく際の有用な知見となると考えられる。また、そうした調査と並行して、現行の一般科目教育の改善のために、手嶋は舞鶴高専に出張し、他高専でのカリキュラムのありかたや授業実践を視察するとともに、情報交換を行った。その結果、社会科系の科目については特に各高専でありかたなどに非常に大きな違いがあることがわかり、カリキュラム改善のためには、今後もこうした取り組みを継続、拡大していく必要があると考えるに至っている。同じく分担者の藤田は、本校HPページ上にて、学生、教職員による英語使用体験エッセイを掲載したり、リスニング教材の開発を行ったりする等のICTを活用した学習支援を行ない、今後は学生と協同で英語学習コンテンツの開発を計画している。総合的に、研究計画は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の計画は以下の①~⑤を主要な内容とする。①福井県内企業の協力を重視した教育実践。基本的には平成28年度の方法を継続するが、PBL教育やテクニカル・イングリッシュ・ライティング講習会の実施等で、実用的側面からの社会貢献プログラムの提供も実施する。研究成果を、国際学会ISATEや「全国高専教育研究フォーラム」で口頭発表等を通して公開する。②TOEIC®受験支援やeラーニング(TOEIC受験支援)を通しての自学自習システム構築とその結果分析(高専学生の得点分布等の傾向を分析する)。基本的には平成28年度の方法を継続するが、TOEIC IP校内実施のデーターの分析を加えて、更に結果分析に精査を加える。その上で、この自学自習システム構築について現状の問題点等を考察し、改善につなげる。③ICT導入の教養教育プログラム実施によるアクティブ・ラーニングの推進。高専機構の教育プログラムで構築した「イングリッシュ・カフェ」を主体とし、ICT導入の教養教育プログラム実施による主体的学習の推進を行なう。本校HPページ上にて、学生、教職員による英語使用体験エッセイを掲載したり、リスニング教材の開発を行ったりする等ICTを活用した学習支援を実施した本年度の実績をもとに、平成29年度はより具体的な支援として、学生と協同での英語学習コンテンツの開発を検討している。④高専機構が奨励する国際学会(=“ISATE”、“ISTS”他) 等での成果発表他の実施。平成28年度の結果を踏まえ、学生の国際学会発表を更に支援する。⑤「上記①から④を基盤とした,高専及び工学系対象の科学技術英語テキスト編さん基礎作業。高専や大学間、及び高専内専門学科所属教員との学際横断型連携による共同研究で、一般学科と専門学科の教育ネットワークを構築と、教養をキーワードにした、高専型一般教養教育モデルの構築作業を継続する。
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Causes of Carryover |
連携研究が予想以上に進捗したため、それにかかわる会議棟諸費用(旅費他)を留保する必要が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費(会議や学会出席等) 物品費
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Research Products
(10 results)