2017 Fiscal Year Research-status Report
遠隔地の外国語話者との協働による外国語スピーキング授業の充実化の研究
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16K02882
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
坪田 康 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 准教授 (50362421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ヒーリ サンドラ 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 准教授 (10460669)
水野 義道 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 教授 (60190659)
森 真幸 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 助教 (90528267)
名塩 征史 静岡大学, 国際連携推進機構, 特任助教 (00466426)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 協同学習 / オンラインコミュニケーション / 相互評価 / Rubric / オーディエンスデザイン / 外国語不安 / 外国語スピーキング活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度はさまざまな実践を実施するとともに、遠隔地の外国語話者との協働をするための活動内容に関する諸検討、改善のためのディスカッションも、適宜、実施した。特筆すべき事項としては、1.フィリピンセブ島の訪問、2.Anxietyの自己評価、他者評価の総合的分析の検討、3.内容重視、技能統合型のタスクの検討などがある。特に1.に関しては、遠隔地からの授業参加の様子の確認や、対面での打ち合わせができ、今後のよりよい活動の設計に役立つとの確信を得られた。 内容面、教育効果をさらに高めるために、平成29年度は内容重視のタスク設計やSpeakingを含む統合型の活動設計についても検討を行うとともに、関連学会や研究会に参加し、資料や文献収集を進めた。今年度は協力者であるフィリピン人講師と、それぞれの立場から見た問題点や改善案についても議論を深め、研究会で共同での研究発表も行った。 日本語の授業では主に対面で、学生たちの相互評価を活用しながらのプレゼンテーションの実践を行い、ビデオに記録をした。今年度は、ビデオに対して評価は行わず、授業内での学生の学習状況の変遷について、分析、考察を加えた。学生の自主性に任せた方法で、それぞれが自主的に学ぶ状況が生まれており、学生たちの言語レベルや、留学中という状況、日本語母語話者である教員がその場に介在し、総括などのコメントを加えるという方法でも、他の英語の実践同様の効果が見られた。さまざまな形態の授業実践の効果を見ることで、全体の改善に繋がるのではと期待している。 当初予定していた中国語クラスの受講人数が少なかったため、授業実践を行うことができなかったが、分担者と内容に関する諸検討をおこなうと同時に、平成30年度の実施に向け、 他大学の協力者を得るなどの活動を行った。他の言語で得られた知見も活用しながら、平成30年度7月ごろをめどに実践を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度はさまざまな実践を重ねながら、活動や分析に必要となる機材の整備をさらに進めるとともに、資料や文献収集、関係者との打ち合わせや専門家からの意見収集を進めている。当初予想していたよりも、多くの方々との多岐に富むディスカッションができており、極めて順調である。本取組みでは、英語、中国語、日本語に関する授業実践を想定しており、それぞれの言語に必要な準備がほぼ整ってはいるが、予定していた中国語授業の受講者数が少なかったこともあり、実践に至っていない。新たな研究協力者を得られたので、他の言語で得られた知見などを活用しながら、平成30年度の7月に実践をするめどがついた。 特に英語は実践経験が増えたこともあり、多少のトラブルは迅速かつ的確に対処できており、進行を極めてスムーズに進められるようになり、内容面の充実やより教育効果の高い方法について検討する余裕が出てきた。特に平成29年度は内容重視のタスク設計やSpeakingを含む統合型の活動設計についても検討を行うとともに、代表者の授業において、Moodleを活用して、相互評価を基礎としたWritingとSpeakingの技能統合型の授業を実施することができた。 また、日本語の授業においても、プレゼンテーションの相互評価に対する貴重な知見が得られた。学生たちの言語レベルや、留学中という状況、日本語母語話者である教員がその場に介在し、総括などのコメントを加えるなどでも、他の英語の実践同様の効果が見られた。さまざまな形態の授業実践の効果を見ることで、全体の改善に繋がるのではと期待している。 研究成果の発表も順調であった。内訳は、査読付き英語論文1件、紀要論文1件、学内の情報科学センターでの授業報告書1件、国内発表5件である。フィリピン人講師の授業観察や、共同での研究発表の機会にも恵まれ、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28-29年度に得られた日本語、英語の調査・研究の成果と関連研究の知見を元にして、下記の3点に重点を置き、今後の研究を推進予定である。 1. 実践内容の分析、総括 平成30年度が最終年度であるため、実践内容の分析に軸足を移す予定である。平成30年度に初めて実施することになった中国語の授業実践の分析を加えた上で、過去に授業実践において収集したデータについて再度検討を加え、トラブルの少ない実践ができるような工夫や、Language Anxiety軽減の効果、教育効果の高いタスク設計やRubricなどについて検討、総括をする予定である。 2.発表者、教員、教室現場の聴衆の評価・認識のズレの検討 それぞれの授業実践において、言語スキル、文化背景、活動場所等がそれぞれ異なり、能力や役割がそれぞれ異なる人々の評価方法や認識が異なることが実践を通じて少しずつ明らかになってきている。特に遠隔地からオンラインで参加する外国語話者は、授業の大枠について理解していても、実践を通じて得られた知見の共有などの徹底はなかなか難しい。平成30年度も、フィリピンセブ島を訪問し、関係者と情報共有やディスカッションを行い、どのような点が伝わりづらいのかについても検討を行う。 3.遠隔地の外国語話者との協働における諸要素の検討 研究発表や関係者との打ち合わせの中で、ジェスチャーに関する分析や、授業内のSilenceの割合、関係者のスムーズなインタラクションの方法など、当初予想していなかった、授業実践において重要となる要素が複数見つかってきたため、将来的な活動に役立てられるように内容を整理し、まとめていく。
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Causes of Carryover |
中国語では、当初予定のクラスにおいて、受講者の人数が少なかったため、授業実践を行うことができなかった。そのため、当初予定していた、分析、評価に関する謝金を利用しなかった。関連の機材購入も一部見送っている状況である。また、参加予定であった研究会、学会と校務が重なったこともあり、見送った出張も数件ある。
平成30年度の7月に、新たな分担者を加え、中国語の実践をするめどが既についており、そこで利用する機材、評価用の謝金、関連した学会、研究会への参加に関する旅費を利用する予定である。
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Research Products
(8 results)