2016 Fiscal Year Research-status Report
日本語版マンガ分析の英語教育導入:役割語分析のアカデミックライティングへの応用
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16K02884
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Research Institution | The University of Aizu |
Principal Investigator |
安田 尚子 会津大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (10461724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Heo Younghyon 会津大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (10631476)
Brine John 会津大学, コンピュータ理工学部, 教授 (60247624)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 役割語 / 大学英語 / ライティング / 英語教育 / 語彙 / 表現力 / 学習動機 / コミッククリエーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大学生を対象とした英語のライティングに、漫画に使用されるヴァーチャル言語の分析を導入することで、(1) 学習意欲を高め、(2) 英語表現力向上をはかり、(3) 最終的にアカデミックライティングのスキルを身につけることを試みる研究である。平成28年は3年計画の1年目であり、(1)と(2)の達成を試みた。 平成28年度は、大学3、4年生を対象とした選択英語科目 "Language in Manga"に役割語の言語学的分析とコミッククリエーターでの漫画作成を導入し、言語感覚と表現力を養い、それが英語力にどう反映されるか調査した。具体的には単調な文章と単語の繰り返しを避け、新しい文型や語彙を積極的に使用することを目指した。また、教材に漫画を使用することで英語学習動機の向上を図った。 受講前と後に同一の語彙テスト、漫画翻訳、アンケートを実施し、単語力、表現力、学習動機等の変化を調べた。漫画の登場人物の言葉遣いが日本語版と英語版でどのような特徴を持っているのか比較分析し、その特徴を反映させて英語で漫画作成を行った。語彙力と表現力を向上させるために漫画登場人物の性格に合う表現や単語を意識的に使用させた。 研究実践の結果、語彙力は受講前より向上し、p<0.0001の有意差が見られた。文章表現にも変化が見られ、特に付加疑問、命令文、感嘆文、強調表現を意識的に使うようになった。またアンケートの結果、役割語の効果として「直訳を避けるようになった」「新しい単語、文型、表現を使うことを心がけた」という意見が多く挙げられ、「英語が好き」と答えた学生も増加した。研究結果の一部は平成29年1月Hawaii International Conference on Educationにて発表され、詳細は7月にSymposium on Second Language Writingにて発表される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年計画1年目における目標として掲げた「英語の学習意欲を高める」「英語の表現力を向上させる」は、計画通り選択英語科目にて実施できた。またプレ・ポストテスト、アンケート調査の結果からも実践の肯定的な成果がみられ、経過は順調である。プレ・ポストテストのライティングデータの量が多いため現在も分析中であるが、研究結果の一部はすでにHawaii International Conference on Educationを含む複数の学会で発表されており、追加データを加えた成果も平成29年度内に発表される予定である。このことからも進捗状況はおおむね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は平成28年度の取り組みを大学一年生対象の必修英語にて実践する。特に英語学習の動機付けと、文法や入試対策が中心だった高校英語から、より実践的で学術的な大学英語への円滑な移行を目標とする。一年生対象の英語ではパラグラフライティングが中心となるため、平成28年度の英語漫画作成のライティングと比較すると自由度が少なく、パラグラフには登場人物がいないため、役割語をどのように導入するかが課題となる。一つの案として、パラグラフをコミッククリエーターで書き、漫画仕様にし、仮想キャラクターによるナレーション方式で役割語を意識しながらパラグラフ作成を行う方法を試みる。また、役割語と合わせて漫画のグラフィック効果も取り入れ、視覚情報を用いながら新出単語を身につけることを試みる。
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Causes of Carryover |
平成28年度の学会発表に研究分担者が同行する機会がなく、データ分析、打ち合わせ等も支出がなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究分担者の平成29年度の学会発表参加旅費、データ分析の費用として使用する。
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