2017 Fiscal Year Research-status Report
和英辞典の弱点を補う:構造上収録されない英語語句の研究
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16K02898
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山田 茂 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (60298130)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 和英辞典 / 二言語辞書 / 発信型辞書 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国(以下参照)、インドでの学会(Madras University Post-Centenary Diamond Jubilee International Seminar on the Frontiers of Lexicography、2018年3月28―29日、マドラス大学、チェンナイ、インド)に出席し、講演、研究発表を行い、それらに基づく以下の論文を発表した: Yamada, Shigeru. 2017. “Critical Issues Affecting Japanese-English Dictionaries: An Overview of Japanese-English Dictionary Development.” Proceedings of the Fifth International Symposium on Lexicography and L2 Teaching and Learning, from November 18-19 at Hebei University of Technology, China. Tianjin: School of Foreign Languages, Hebei University of Technology. 204-215. Yamada, Shigeru. 2018. “Milestone Japanese-English Dictionaries and Their Implications for Today’s Japanese-English Lexicography.” Eds. Jayadevan, V, and Oppila Mathivanan. The Frontiers of Lexicography. Chennai: Arimaa Nokku. 55-67.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、和英辞典が使用者のニーズに応えきれていないのは、日本語の見出し語に対する英語の訳語・等価表現を配する構成を取るのため、致し方なく収録しきれない情報が存在するからであるという仮定に立っている。どのような情報が欠落しているか、その傾向を明らかにするために、Longman Wordwise Dictionaryを通読し、和英辞典が拾い切れていないであろう情報を手作業で収集している。上記辞書は中級外国人学習者向け英英辞典であり、総項目数は38000で、見出し語はかなり限定されているものの、受信型辞書であるため、使用者の読解のニーズに応えるため、語義は中核的なもの以外も収録している。それ故、見出し語、定義、用例を読むに際し、単語、フレーズ、慣用表現のレベルで和英辞典に収録されうる日本語想定し逐一対応させ、収録されない理由を考慮、記録しつつ読み 進めていく作業は殊の外注意力を要し、時間のかかるプロセスであることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
6月の日本英語表現学会全国大会において、「理想的な和英辞典の編集と使用」というタイトルで研究成果を発表する。昨年度は講演や論文で和英辞典の歴史を概観し、『和英語林集成』(ジェームズ・カーティス・ヘボン、1867)、『スタンダード和英辞典』(竹原常太、1924)、『和英大辞典』(斎藤秀三郎、1928)等の名著を改めて見てみた。その結果、現代の和英辞典も英語話者の解釈のための「日英辞典」であったヘボンの辞書の影響を脱しきれておらず、斎藤の言う(analysisよりも)synthesisに資する辞書に大胆に方向転換する必要があることを認識した。また、Longman Wordwise Dictionaryを通読し、和英辞典が拾い切れていないであろう情報を採取する作業において、和英辞典は文法など多くの事項を使用者が理解し運用できる前提で書かれていることがわかってきた。これらを含む研究発表を行う。 日本英語表現学会での研究発表までに研究成果を整理し、専門家の検証を受ける。 研究発表へのフィードバックを踏まえ、研究を振り返ると共に今後の進め方を考える。
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Causes of Carryover |
主な理由は、データ収集が遅れたため、検証がなされず、そのための謝金が使われなか ったためである。
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Research Products
(6 results)