2019 Fiscal Year Research-status Report
日本におけるインドネシア語応用教材の研究と開発および教材バンクの拡張
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16K02901
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
森山 幹弘 南山大学, 国際教養学部, 教授 (50298494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 真由子 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (20389563)
降幡 正志 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (40323729)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 外国語教育 / インドネシア語 / 教材研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度においても日刊紙KOMPASの記事を用例収集のコーパスデータとして利用し、『インドネシア語基本文法』の項目ごとに頻度、意味、語形成、文型、共起する語などの点から用例を収集し考察した。この作業ではコーパスデータを分析し用例を抽出するために、コンコーダンスソフトを利用した。本年度までに明らかになってきたことと課題として(1) インドネシア語研究の新たな視点の獲得 (2) 用例の選定基準の方向性 (3)『基本文法』の記述と用例の再検討の必要性である。これまでの研究では、既存の言語研究の成果や文法書を参照し規範的な文法について検討しそれを記述してきたが、コンコーダンスツールを用いることによって、実際に用いられている例を頻度、共起する語や文型などのいくつかの観点からある程度組織的に分類し考察することが可能になった。その結果、規範に合致する例だけでなく、規範から外れるが許容されている例も見られることがわかり、また規範そのものや規範の範囲が変化している可能性も見えてきた。言語研究および言語教育において、規範と実践のどちらか一方のみを見ていては不十分であり、インドネシア語に関しても同じことが言えることが判明した。一方、コーパスの分野や文体の偏りの問題がある。これまでの研究で材料としてきたのは日刊紙だけであり、用いられる語や文型、語順などの点で見られる特徴がジャーナリスティックな文体の可能性があった。今後は。分野や文体に偏りがないように、使用するコーパスには別の分野や文体のものを加えることが望ましい。これらの研究成果を踏まえ、11月の第50回日本インドネシア学会研究大会において「インドネシア語応用教材に関する共同研究からの報告」と題して発表し、課題と今後の研究の方向性について報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、コンコーダンスソフトを活用して順調に全ての基礎文法の項目ごとにインドネシア語使用例の収集を実施できている。そのデータについてのインドネシア語使用例の言語学的分析も概ね進んでいると言える。本年度についても予定していた研究会に全員が参加してこれらの作業を進めることができた。次のステップとして収集した用例の資料化と、アウトプットとしての形を整える作業を開始している。しかしながら予定していたデータベース化には至っておらず、どのようなフォーマットで研究成果を公表するかの議論を進めているところである。すなわち最終年度を迎えるにあたり、成果の公表の準備を着々と進めてきていることから「概ね順調に進展している」と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を通じて多くの課題が明らかになってきたが、それはインドネシア語教材研究が深化したからこそと考えることができ、研究の成果が蓄積されてきていると言える。これらの課題を克服していきながら、すでに発表した基本教材に続き、それに即した応用教材を完成させる予定である。 上記の通り、研究の深化が進み、コーパスの拡張などの必要性も認められるものの、現時点での研究の蓄積は、すでに基盤的な枠組みと内容を備えており、発表する意味が十分にある。基本教材の作成を目的とした第一期目に引き続き、現在第二期目であるインドネシア語教材研究は、2020年度に最終年度を迎えることになり、年度末には一つの研究成果として「インドネシア語用例集」を作成する計画である。基本教材の時と同様に、今回もまずは試行版として限られた範囲で公開する予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画していたインドネシアでの調査が新型コロナ感染症の拡大に伴い、実施が難しい状況となったため、旅費が予定通り執行できなかった。 その助成金については、翌年度に計画している海外での調査に使用する計画である。
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Research Products
(12 results)