2016 Fiscal Year Research-status Report
二次元コード・3Dプリンター・骨伝導器連結による視聴覚障碍者言語情報獲得の研究
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16K02902
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
馬場 景子 日本福祉大学, その他部局等, 非常勤講師 (80424943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 長貴 山形県立米沢女子短期大学, 英語英文学科, 教授 (00214825)
中野 幸夫 関東学院大学, 理工学部, 教授 (10371254)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 二次元コード / 3Dプリンター / 骨伝導器 / DAISY音域速聴 / ASL / 日本点字史 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の主だった研究実績は、同年度に出版された筆者の馬場が関係した2冊の出版物に代表される。1冊目は、1月に出版された墨字点字合本・音声訳CD付き『バリアフリーブックレット みんなで学ぼう! 年中行事』社会福祉法人 桜雲会発行(一般社会法人全国冠婚葬祭互助会第16回社会貢献基金助成)の監修を行った。年中行事出版物の監修に関しての筆者の学問的背景は、かつて筆者が行っていた日本文化史研究における多数の報告と著書を含めた出版物にある。2冊目は、3月に出版された『おとがでるえほん かいてみよう きいてみよう3』社会福祉法人 桜雲会発行(平成28年度小学館助成)である。この出版物の前頁全面に二次元コードが印刷されており、二次元コード読み取り機器である音声ペン(音筆)で紙面をタッチすることで音声が再生される。出版物・全面印刷は二次元コード研究の完成形の一つであると言える。 本研究の研究課題名にも含まれている3Dプリンターにより漢字を作成した。本件に関しては平成28年度サイトワールド同時開催事業において研究代表者・研究分担者・連携研究者の3名で講演を行った。3Dプリンターによる漢字作成は日本で最初の試みである。次段階の作成は、現在も進行している。 さらに、視覚障碍者の情報獲得にとって重要な手段である音声に関する研究も行った。内容はDAISY音域を測定し、この音域内に英語音声を入れ込む初期研究も行った。この研究により、視覚障碍研究が晴眼者言語情報獲得に関与できるユニバーサルデザインの可能性がある。この研究の報告は、日本英語音声学会で発表した。 また、視覚障碍者の言語獲得の手段である点字研究に関しては、平成26年度から引き続き行っている。その成果は平成29年度末に単著が出版される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、本研究の課題名にある視覚障害に関しての研究調査に終始した。この理由は研究実績概要に記したように成果自体が非常に深く社会に貢献するものであり、視覚障碍研究から晴眼者への発信というユニバーサルデザインを現状で可能にしようとしている。また、筆者の研究特長であるダイバーシティにより、視覚障碍が抱えている諸課題に深く関わってきた。その結果、聴覚障碍関連の研究である、研究課題目に記した骨伝導器のみ進展が少々遅れている状況である。 骨伝導器関連の連結研究は、UV硬化樹脂により製作され、出版物となっている点字付きさわる絵本を使用し、聴覚障碍者の「ろう文化」、視覚障碍者の「さわる文化」、晴眼者および健聴者の文化を網羅することになり完成度の高いもととする必要がある。骨伝導の仕様を変更することも必要となっている。骨伝導器の振動数を上げ、機器の使用の安全性を高める聴覚器官ではなく、首あるいはその他の身体部位への振動させることが重要課題となっている。 さらに、この研究セクションでは、研究内容を十分に理解できる関係者が必要になっている。人選に関しては、平成28年度行った。今年度、平成29年度の上半期には、このセクッションの三分の一程度が実行可能であろうと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進の方向性としては、4つの研究課題がある。各々は同時進行であるため推進ストラテージの順序は明確化できないので、研究実績の概要に記載した順序を採用する。 先ず、課題名にもある3Dプリンターでの漢字作成は、この研究プロジェクトの計画に加え、平成28年度に行ったサイトワールド同時開催事業においての講演で参加者からいただいた多くの意見を参考に引き続いて実行していく。成果報告は、平成29年度、同事業で講演を行う予定になっている。 次にDAISY音域に英語音声を入れ込む初期研究も行った成果を踏まえ被験者調査を行う。調査における個人情報を書き込む必要のない初期アンケートを作成する。この成果報告は日本英語音声学会で報告する。 3番目の研究は、日本点字史の研究の一端を担うものとなると予想できる。この成果は平成29年度末に出版予定である。 最後は、骨伝導器の使用変更作業と、それに連結させる二次元コード情報のコンテンツ作成を予定している。コンテンツの概要は、ASLによる物語表現を手話話者が表し、その動画を撮影し、二次元コード内の情報とする。特に、ASLという言語の文構造の特徴に焦点を当て特徴化させる。さらに骨伝導器の自体が耳周辺に装着するため、人工内耳をインプラントしている聴覚障碍者が使用する際の安全上の問題発生を考慮し、耳周辺ではなく振動感知身体部位を想定し、この件に感しても機器の仕様を変更する。
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Causes of Carryover |
筆者の研究特長であるダイバーシティにより、視覚障碍が抱えている諸課題に深く関わってきた。その結果、聴覚障碍関連の研究である、研究課題目に記した骨伝導器のみ進展が少々遅れている状況となった。さらに骨伝導器を耳付近に装着させることに関しての安全性の確認が必要であり次年度使用額が生じた理由となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、骨伝導器の仕様変更と骨伝導器に連結する二次元コード内に格納するコンテンツ作成を行う。コンテンツは、従来行ってきた点字付きさわる絵本に二次元コードを添付し、読み取り機器によって再生される動画にASL字幕を付け、ASLの文構造の特徴であるトピックを強調させる。この強調部分に骨伝導器が反応する仕様変更を行う。加えて、使用者の安全面を鑑み、耳周辺ではなく、首あるいは他の身体部位に振動が伝わる構造にする予定である。
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Research Products
(6 results)