2016 Fiscal Year Research-status Report
国際プロジェクトで共創を果たすためのクリティカル・シンキング力育成に関する研究
Project/Area Number |
16K02909
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Research Institution | Nagasaki Junshin Catholic University |
Principal Investigator |
鈴木 千鶴子 長崎純心大学, 人文学部, 非常勤講師 (10123837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 憲一 長崎純心大学, 人文学部, 教授 (50284138)
吉原 将太 長崎純心大学, 人文学部, 准教授 (30321318)
ジュリアン バンダービーン 長崎純心大学, 人文学部, 教授 (50753935)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | クリティカル・シンキング力育成 / グローバル・コンピテンス / 共創 / オンライン・ディスカッション / 国際プロジェクト / 学習者コーパス分析 / 発話(信)機能分類 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究者らの先行研究から必要性が示された「日本人大学生の外国語(英語)教育におけるグローバル・コンピテンス,殊にクリティカル・シンキング(批判・論理・分析的思考)力育成」の方法開発を目的とする本研究で,その第1および第2段階を実施した. 方法として,日本を含む6ヶ国の大学生がオンライン上で実践した国際プロジェクトのフォーラム・ディスカッションでの発話データ(2014年度分総語数約140,000)を分析するため,以下のデータの整理・整形・分類ならびに分析を行った.(1)教員の発話ならびに引用を除き純粋に学生の発話のみを抽出し学習者コーパス(総語数約88,000)を構築.(2)その全ての発話について,センテンス単位(総センテンス数約7,600)でオンライン・コミュニケーションにおける4つの機能:Administration; Technical; Social; Contents,にカテゴリー分類.(3)以上の分類に基づき,①4つの発話機能別サブコーパス,および②6つの国別サブコーパスを構築.(4)各国ごとに発話機能別割合を算出し,国際比較.(5)発話機能別サブコーパスについて,それぞれKeywordsを検出.(6)クリティカル・シンキングに基づく発話を含むContentsサブコーパス(総語数約75,000語)のKeywordsの内,動詞を抽出し,Bloom’s Taxonomyの認知・思考レベル別動詞と合わせて,クリティカル・シンキングを標示すると仮定される語彙(動詞)リストを作成.(7)その標示語リストの出現率を国別サブコーパスで検出し,国際比較. その結果,遡る過去2年間の予備的研究で得られていた「国際コミュニケーションにおける日本人大学生の発話に関する量的・質的特徴」についての種々の知見に対して,本研究により確証が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間の研究期間を大きく5段階に分けて設定しており,初年度の2016年度はその内の2段階目を終了できた. しかしながら,その結果について考察すると,予測した程度の精度で仮定した結果が得られたとは断言できず,研究方法についても見直すことを視野に,次年度の2017年度からの3段階目の調査研究・分析を行うこととした. 従って,作業的には遅延は認められないが,内容的には研究方法再考の必要性を判断することを次年度の研究状況・成果に照らしながら行うとしたため,「概ね順調」と報告する.
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Strategy for Future Research Activity |
《研究実績の概要》で述べた内容と結論を踏まえ,次の2017年度に予定する第3段階目として,以下の調査研究・分析を行う. (1)クリティカル・シンキング力標示語として仮定した動詞のリストを基に,Contentsサブコーパスから,一人称: "I" と"we",を主語とする文について,クリティカル・シンキング発話文を抽出.その結果を国際比較.(2)以て,①クリティカル・シンキング発話の下位区分および②クリティカル・シンキング力の測定評価,の方法としての可能性を検討.(3)先の(2)で方法としての妥当性を確認後に,クリティカル・シンキング発話文と認定されたセンテンスに焦点を当て,前後(主に前)のセンテンスおよびメッセージ全体の特性(=クリティカル・シンキング発話の誘因)について明らかにする目的で,発話者とKeywordsを手掛かりに,談話分析を行う.
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Causes of Carryover |
国際プロジェクト実施機関の世界6ヶ国の大学から研究者が毎年一回一堂に会し開催する国際学会(研究集会)の2016年度分へ,当初の計画で2名の参加を予定していたが,ポーランドが設定した開催時期に本研究機関における公務が重なり,1名のみが参加可能となった.併せて,次年度には当初1名の参加を予定していたが,開催地のドイツが新たなプロジェクトへの発展可能性を提案するため,実際の教育現場を多くの研究メンバーが視察した上で協議したいとの理由で,研究集会への参加要請があり,2名の海外出張を可能とするため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に,7月中旬に,ドイツの小学校へドイツの大学生と共に訪問し,小学生が行う情報機器を駆使した子どもカンファランスを見学することを含めた,国際学会(研究集会)の例会へ,2名が出席することに充てる.
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Research Products
(16 results)