2017 Fiscal Year Research-status Report
タスクとコミュニケーションへの態度(WTC)の研究
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16K02914
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
横山 吉樹 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (70254711)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | WTC / 第2言語習得 / コミュニケーションタスク |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年7月から実験を開始し,50名の学生を対象者として,英語の習熟度試験を課した。その結果に基づき,30名の被験者を選定し,ほぼ同じ習熟度の者同士がペアを組み実験を行った。実験は,WTCの事前アンケート(昨年度作成)を課し,タスクを行い,事後に再びアンケート(昨年度作成)を行った。タスクは,ジグソー型の「間違い探しタスク」と意思決定型の「仕事のやりがいタスク」を行い,ペア活動の発話をそれぞれ録音をした。実験終了後,アンケートの分析をし,録音の書き起こしを行った。 アンケートは,因子分析を用いて,事前と事後でどのように因子が変化するのかを観察した。結果は,事前と事後では抽出された因子が大きく異なり,事前では,WTCは,それを支えるタスクの面白さやパートナーとの相性を巻きこんで一つの因子を形成した。それは,事前では,WTCが限られた現実との関わりしか意識しないものであり,これまで研究されてきた未分化なもの(trait-like WTC)と同等なものの可能性がある。しかしながら,タスクを行った後では,WTCは,言語パフォーマンスへの志向を包括したものへと変容する。それは,WTCがタスクをする上で必要となる言語パフォーマンスをより一層意識したもの(situational WTC)へ変容していったことを意味すると考えられる。また,2つのタスクのどちらがWTCに貢献するかに関しては,事後では,WTCの意欲を支える点でも,WTCとその言語パフォーマンスへの志向という点でも,意思決定型タスクよりもジグソー型が高い値を示した。 発話データの分析は,まだ途中段階であるが,ジグソータスクと意思決定タスクを比較すると,後者の方が,複雑さが多少増加している傾向があるのが見て取れる。因子分析の結果に応じて,どのように流暢さ,正確さ,複雑さが変化するのかは,今後の分析となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ジグソータスクと意思決定タスク,それぞれ30名分の発話を書き起こすのにかなり時間を要した。そのため,発話の分析が多少遅れているが,それ以外の点で遅れはない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,最終年度となるので,WTC質問紙の因子分析の結果を口頭発表すること,また,発話データを分析し,正確さ,流暢さ,複雑さの計測する。その上で,事前と事後のどのような因子の変化が,タスクによって起こり,それが,発話の正確さ,流暢さ,複雑さに影響を与えるかを調べる。
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Causes of Carryover |
データ分析が遅れたため,一部次年度に謝金業務を繰り越した。また,予定していたタスク観察のためのビデオ機器が予想していたよりも低額であったため。
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