2016 Fiscal Year Research-status Report
英文読解に社会環境的要因はどのように影響するか:生態学的アプローチの視座から
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16K02927
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
松本 広幸 北海学園大学, 経済学部, 教授 (00549404)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 英文読解要因 / 社会環境的要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,第二言語読解の個人差要因について,量的・質的アプローチの併用による数値的・言語的データの比較対照を通して,家庭・学校・地域社会・社会通念との関係から社会文脈的に考察を行う。すなわち,第二言語としての英文読解の動機づけ・学習観・方略使用に社会環境的要因がどのように影響するかという課題(特に因果プロセス的特徴の考察)に取り組み,高等教育レベルでの英文読解指導に資する新たな知見獲得や具体的提言を目指す。初年度前期においては,教育学や心理学を含む文献調査を行い,社会環境的要因の学習者への影響に関する先行研究を整理した。併せて,開発済みの英文読解質問紙(動機づけ・学習観・方略使用の3尺度)の構成概念妥当性の再検討,新たな質問紙(社会環境的要因尺度)の開発を行った。社会環境的要因尺度に関しては,家庭・学校・地域社会・社会通念の4階層レベルを下位尺度とした。初年度後期においては,本調査に向けて英文読解授業の中で質問紙調査(量的尺度)と面接調査(質的・言語的データ)を予備的に実施した。協力者は英文読解授業を履修する大学生100名程度とした。質問紙調査は,各尺度の構成概念妥当性と下位尺度の内的整合性を検証すると共に,尺度間の関係性について精査することを目的とした。面接調査は,面接協力者からの回答と質問紙調査の結果を比較検討することを目的とした。実施後,構造方程式モデリング(SEM)を中心とする分析によって、社会環境的要因と英文読解要因との関係性について検討した。現在,これらの研究成果について論文としてまとめるとともに,海外学会において口頭発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載したとおり,順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究成果を踏まえ,今年度は英文読解要因(動機づけ・学習観・方略使用)に対する社会環境的要因(家庭・学校・地域社会・社会通念)の影響について本調査を行い,より精緻に検証する予定である。すなわち,どのレベルの社会環境的要因の影響が顕著であるのか,どの英文読解要因への影響力が大きいか,どのような因果プロセス的特徴が見られるかなどを明らかにしたい。具体的には,社会環境的要因尺度の回答に対してクラスター分析を行い,グループ化された数類型からそれぞれ4~5名の面接対象者(合計20名程度)を選抜する。対象者が確定したら個別に半構造化面接を実施するが,質問紙調査の結果に基づき,社会環境的要因と英文読解要因の関係性(例えば,家庭での読書経験と動機づけ)に焦点を当て質問する。使用する分析手法は以下のとおりである。① 相関係数(偏相関係数)により各要因の下位尺度の個別的関係性を確認するとともに,構造方程式モデリング(SEM)により全体的関係性について検討する。② 分散分析(ANOVA)と多変量分散分析(MANOVA)を併用して,社会環境的要因により英文読解要因に差があるかどうかを検定する。特に交互作用を精緻に見ることによって,社会環境的要因の複合的影響力について精査する。③ 面接の結果を質的に分析する。④ 量的分析と質的分析を統合して,結果の類似性や説明力・例示性などを基準に検討する。
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Causes of Carryover |
研究成果をまとめた論文が未完成のため,英文校閲費の支出がなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果をまとめた論文を完成させ,英文校閲費の一部として支出する。
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Research Products
(2 results)