2016 Fiscal Year Research-status Report
多国籍企業における知識伝達の分析と教育・研修モデルの構築
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16K02938
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
鈴木 眞奈美 法政大学, 経営学部, 教授 (60583929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 英彦 法政大学, 経営学部, 教授 (10411208)
安藤 直紀 法政大学, 経営学部, 教授 (50448817)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 知識伝達 / 多国籍企業 / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、国際経営学の分野における知識伝達の先行研究や最新の研究の動向に関して文献調査を実施すると共に、国際学会(Academy of International Businessなど)で、専門家との情報交換も行った。また応用言語学におけるコミュニケーションと知識移転との関係を理論的に明確にするために関連する分野の国内外の学会(The Japan Association for Language TeachingやAmerican Association for Applied Linguisticsの学会等)に参加するとともに、関連する文献調査も実施した。平成27年度に鈴木・西川が収集した海外の親会社から子会社への知識移転と子会社の採用と昇進に関するデータについて、あらたに本研究に加わった安藤とともに再分析して、The Association of Japanese Business Studies (AJBS)で研究成果を発表した。発表論文は学会の会報(電子版)として出版された(査読有り)。さらにコミュニケーションが知識移転に与える影響を業種別(サービス業と製造業)、海外進出の目的別(吸収合併か否か)による相違についてデータを分析し、研究結果をまとめ、平成29年度にAcademy of International Business(AIB)で発表予定である。同じくAJBSにおいても業種の相違によるコミュニケーションの知識移転の成果への影響に関する研究発表をする予定である。また平成28年度の研究成果を整理し、日本で活動する多国籍企業内における次の2つの要因(①コミュニケーションの頻度、②日本の子会社の管理職の海外本社とのコミュニケーションの重要視の度合)に関して知識移転による成果への影響を分析した結果を論文にまとめ、国際的学術誌に投稿するための準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、以下の4点を目的としている。 1.多国籍企業における知識伝達の手段、言語、頻度、内容について調査を実施する。評価(2)コミュニケーションの頻度と知識移転の成果についてこれまでに収集したデータを再分析し、両者において①正の相関関係があること、②製造業に比較して、サービス業のほうが、より高い頻度のコミュニケーションや、子会社の管理職が親会社とのコミュニケーションをより高く重要視している場合、知識移転のメリットをより享受できることが判明した。 2.多国籍企業における知識伝達と企業の業績との関係や、従業員の社内言語の能力や専門能力、異文化理解能力と採用・昇進との関係を、主に統計手法を用いて分析する。評価(2)関連する最新の研究成果を調査した。さらに平成28年度にThe Association of Japanese Business Studies (AJBS)で発表した論文を再考し、国際的学術誌に投稿する準備を行った。 3.分析結果に基づき、応用言語学、経営学の双方の立場から、特に日本人にとっての理想的な知識伝達ならびに国際コミュニケーションのモデルを構築する。評価(3)モデル構築のためのデータを収集し、分析するための文献調査、関連する国内外の学会での専門家との情報交換を行った。 4.日本の現状を理想に近づけていくために必要と思われる大学における外国語教育や企業の研修の独創的かつ革新的モデルを構築し、シンポジウムやホームページで提案する。 評価(3) 業種(サービス業と製造業)の相違によるコミュニケーションが知識移転に与える影響に着目して、業種別の語学教育(英語教育)のモデル化、具体的には特定の目的のための英語(English for specific purposes)の教育に提言できるように研究成果をまとめ、平成29年度に応用言語学の学会で発表できるように準備した。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 平成27年度に実施した、日本で活動する多国籍企業の管理職を対象とした知識伝達に関する調査を基に、より精度の高いデータを収集し、分析する手法を模索し、新たな調査研究をする。 2)多国籍企業内のコミュニケーションと知識移転による成果の関係についてこれまでの成果をまとめ、国際的な学術誌に投稿する。 3)日本で活動する多国籍企業における次の3つの要素(①国際語としての英語能力、②異文化理解、③職業的専門能力)と採用・昇進との関係に関する研究成果をまとめ国際的な学術誌に投稿する。 4)これまでの成果をAJBS 、AIBなど学会で発表し、関連する分野の専門家と情報交換をする。 5)社会学、心理学など社会科学の基礎分野をはじめ、国際経営、応用言語学、統計学の専門分野に関連する研究の動向の文献調査を実施する
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Causes of Carryover |
当初、平成30年度に予定していた応用研究の実施(質問票調査)を、平成29年度に実施することになり、この調査研究実施前に、国内外の国際経営や応用言語学の専門家から調査研究の計画に関して、平成29年度に助言を受ける必要がでてきたため。そのために、2017年開催される国内外の学会(AJBS, AIB, JALT等)に参加する予定となった。またこれにより本研究の応用研究のデータ収集をより適切、かつ慎重に実施することができ、また収集したデータを最新の統計分析の方法を用いて分析することができる。平成31年度に予定している研究成果の発表の準備も平成30年に開始できる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、関連する国内外の学会(AJBS, AIB, JALT 等)に参加し、専門家と情報交換を行う。基礎分野の研究動向にも留意しながら、応用研究の準備を行い、データの収集を開始する。平成30年度は、引き続き最新の知識伝達の研究や本研究を実施分析するにあたって必要な基礎分野の研究動向にも留意しながら、応用研究のデータを綿密に分析する。平成31年度は、最新の動向を留意しながら、応用研究の分析結果に基づき、知識伝達のための教育、研修モデル(海外で事業を展開する日本の多国籍企業で、日本人が上司としてコミュニケーションをする場合と日本で事業を展開する外資系企業で、部下としてコミュニケーションをする場合を比較しながら、日本人にとっての理想の国際コミュニケーションの教育、研修のモデル)を構築し、国際経営や応用言語学の国内外の学会で発表するとともに、国際的な学術誌への研究成果の発表をする。
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Research Products
(12 results)