2020 Fiscal Year Research-status Report
外国語(英語)リスニングの自動化プロセス:音声の知覚単位と母語干渉の観点から
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16K02944
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
菅井 康祐 近畿大学, 経済学部, 教授 (90454636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横川 博一 神戸大学, 大学教育推進機構, 教授 (50340427)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 音韻知覚単位 / 音韻性短期記憶 / モーラ / スパン課題 / 日本語母語話者 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は日本語母語話者の音韻知覚の特性をさらに探るべく調査を行い,「日本語母語話者の音韻知覚単位について:モーラ数と持続時間長の関係」という形で発表を行った。調査の概要は以下の通りである。 音声言語処理(知覚・認知・理解)のプロセスを解明する上で,その土台となる知覚単位について明らかにすることは母語のみならず母語の処理の影響を強く受ける外国語のリスニングプロセスを理解する上でも大変重要である。本研究では,日本語母語話者の音声言語の知覚単位について,日本語において重要な働きを担っているモーラとその持続時間長の観点から探るべく,次の2つのリサーチクエスチョン(RQ)を設定した:日本語母語話者の音韻性短期記憶において,RQ1: 刺激音(1モーラ)の持続時間長は短期記憶容量に影響を及ぼす,RQ2: 刺激音(1モーラ)の持続時間長が短いと連続する2モーラが知覚単位(unit)になる。日本語を母語とする大学生62名を対象に,日本語の母音(5種類)を用いた音韻スパン課題(一定間隔で提示される音韻をいくつ記憶できるか)を実施した。モーラの持続時間長10種類(150, 170, 190, 210, 230, 250, 270, 290, 310, 330 ms)とモーラ数(1 or 2)を変数とし,100種類の刺激音を作成した。2元配置の分散分析の結果,RQ 1・2共に支持された。つまり,モーラの持続時間長・モーラ数の両方が記憶数に影響を及ぼし,さらに,150・170 msの短いモーラについては連続する2モーラが知覚単位となっている可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在の情勢において反応時間測定,脳波測定などの対面での実験を実施できないため,データの採取ができなかった。実証研究が中心となる研究のため,大変難しい状況が続いている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,当初予定していた対面での実験に基づいた研究は非常に難しいと考えられる。実験の精度が落ちるのはやむを得ないが,オンラインで実施できる形態での調査を考え,なんとか研究を進められるように努めたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大により,対面での調査が実施できなかった。これにより,データ収集ができず研究をすすめることができなかった。それに伴い当初予定した研究発表も実施できず支出がなかった。2021年度はオンラインでの調査を実施できる体制を整え,研究を進める予定である。
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