2018 Fiscal Year Research-status Report
授業を活かす技能統合的スピーキング活動と評価尺度の開発研究
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16K02953
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平井 明代 筑波大学, 人文社会系, 教授 (00312786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 亮子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00756281)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スピーキング / リテリング / 文法使用 / 自動採点 / 評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は,まとまった文章を読んで,その後,その文章を見ずに再話や口頭要約を行う活動を工夫して,中高大のニーズに合ったスピーキングテスト(Story Retelling Speaking Test:SRST)を完成させることを目標としている。今年度は,次の3つのことを行った。 第1点目は、昨年度から継続していたピア評価の成果報告を行うことができた。文章の中に使えるようになってほしい文法事項(ターゲット文法)を入れ,その文法事項とそれ以外のさまざまなスピーキング観点を入れたルーブリックを作成し、学生のパフォーマンス評価能力を調査した。それを教師評価だけでなく、外部の妥当性および信頼性が担保されたTSST (Telephone Standard Speaking Test)の得点結果と比較した。その論文が全国英語教育学会誌(ARELE 30号)に掲載された。 第2点目は,SRSTはネット上で受験する仕組みを作ることも可能な形式であるため、受験者の発話をどこまでAIが採点できるかということを検討した。特に学生同士のピア評価では、ターゲット文法項目の評価が難しく、ピア評価の信頼性も低かったため、自動採点で評価できるかの研究を継続して行った。自動採点プログラムで発話の書き起こしデータで数値化できる特徴(パラメータ)を絞り込み、教師評価と自動採点得点の相関が実用可能なレベルまで高めることができたため、その成果の執筆を開始した。 第3点目は、第1点目が完了したので、さらなる応用研究として、SRSTのテストで、批判的思考力を測定することができないか検討に入ることにした。すでに何度か討議を重ね、準備段階ではあるが、その予備研究の学会発表を1件行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年の北海度地震で研究成果を発表することができなかった。また、公務のために予定していた国際学会での発表も取りやめ、分析作業と論文執筆も予定通り進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の点を踏まえて、今後は以下の研究を行っていく予定である。 まず、期間を開けた第1回目と第2回目のSRSTのパフォーマンスの向上から,ターゲット文法の練習効果と記憶定着に関して、分析協力者が確保できなかったため、今年度はその分析を急ぎ、研究成果をまとめていくこととする。 続いて、SRSTの自動採点に関する研究において、日本人採点者、英語ネイティブスピーカー採点者、自動採点とそれぞれの特徴を分析し、その関係を調査した結果、ある程度高い相関が得られた。これで、自動採点に含めることができる指標を確定することができたため、この指標の計算手法とそれを使用した採点結果を公表するため、論文の執筆を始め、年内に投稿することとする。 最後に、自動採点研究である程度の結果がでたため、再話というオリジナルのテキストと重なる部分の発話はAIに任せることが出来るため、次の段階として、人間にしか出来ない採点を目指すこととする。具体的には、SRSTのテスト形式に加えて、インタラクション能力を上げるタスク、および、高度な認知能力を必要とするタスクを加えていく予定である。近年では、アクティブラーニングを通して、インタラクション能力や批判的思考力の重要性が叫ばれており、SRSTに、そのような能力を引き出せるタスクを加える研究を開始する。第一段階としては、スピーキングタスクではなく、SRSTのリーディング部分に焦点を当てた発問について、共同研究者および研究協力者と検討していくこととする。また、パイロット実験に取り組み、その結果を発表していく予定である。
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Causes of Carryover |
北海道地震のため予定した学会がキャンセルになったため、その旅費を今年度の学会発表として使用する。また、実験の遅れから、昨年予定の研究協力者への謝金を今年度に当てることになったため。
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