2018 Fiscal Year Research-status Report
教室談話に関する専門的力量形成めざした英語教師研修プログラムの開発
Project/Area Number |
16K02962
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
吉田 達弘 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (10240293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 裕之 関西大学, 外国語学部, 教授 (80247759)
松井 かおり 朝日大学, 保健医療学部, 准教授 (70421237)
テーラー マーク 兵庫県立大学, 総合教育機構, 外国人教師 (40514443)
名部井 敏代 関西大学, 外国語学部, 教授 (20368187)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 英語教育 / 授業研究 / 教室談話 / 相互行為 / 会話分析 / 教師教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,小学校,中学校,高等学校の英語授業での教室談話のデータを会話分析した上で,教師と児童・生徒間の相互行為によってどのような教室談話が形成され,学びが促されているかを明らかにし,これをもとに,教師の省察を促す教室談話の枠組みを開発し,教室談話に関する専門的力量形成を行う英語教師研修プログラム及びガイドブックを開発することを目的としてしている。3年目となる平成30年度は,以下の事柄に関する研究を推進した。 (1)英語教師研修プログラムおよびガイドブックの開発:2年目までの研究成果をもとに,英語教師の教室談話に対する意識を高め,授業改善につなげる研修ガイドブックおよびプログラムの開発に取り組んだ。今年度は,理論的基盤として,教室談話分析や会話分析だけでなく,発達心理学者Vasudevi Reddyや佐伯胖が提案している「二人称的アプローチ」も理論的基盤に加えることによって,研究者と授業者が対話的に授業への省察を深める手法を検討した(この点については,吉田が,JACET Joint Seminar[8月21日,京都府立大学]にて講演)。また,前年度に導入した授業分析アプリケーションVideo Enhanced Observation(VEO)の活用をガイドブックおよびプログラムの一部とすることで,英語教師の授業に対する省察を効果的に支援できる可能性を検討した。 (2)国際フォーラムの開催:当初最終年度に予定していた国際フォーラム"Becoming mindful L2 teacher/researcher using an SCT framework"を1年前倒しして開催した。フォーラムでは,Johnson教授による講演,ワークショップ,および,本研究に関連する研究を推進している英語教員による実践研究発表(3件)がなされ,約50名の参加者と学術的交流を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年5月,7月,10月および平成31年1月に研究分担者会議を開催し,研究の推進および進捗状況を確認を行ってきた。今年度,当初計画に加え,「二人称アプローチ」という見方を理論的基盤の一つに加えたこと,また,教師の授業に対する省察を支援するツールとしてVEOの活用を加えたことで,研修プログラムおよびガイドブックの開発は,若干遅れているが,最終年度には,当初計画よりも充実した研修ガイドブックおよびプログラムの開発が可能となると考えている。 また,当初,最終年度に開催予定であった国際フォーラムについては,1年前倒しで開催したが,これは講演者であるKaren E. Johnson教授(ペンシルベニア州立大学)の招聘可能な時期と開催時期をあわせたという理由による。Johnson教授は,本研究の理論的基盤となっている第2言語教師教育理論の分野で国際的にも著名な研究者であるが,本研究の進捗状況および内容について助言をおこなってくださったことで,研究推進を加速することができた。また,同フォーラムの開催を通じて,参加した研究者・学生・英語教員と学術的交流を行うとともに,本研究が目指す英語教師研修プログラムの趣旨について広く伝えることができた。以上のように,本来の計画と実施時期の点で若干のずれはでているが,内容的にはおおむね順調にしていると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的および成果となる研修プログラムおよびガイドブックの開発を完了し,8月,あるいは,9月に学校教育現場の英語教員の評価を仰ぐ。ガイドブックについては,完成後,PDFの形式でウェブ上での配布を行い,さらに改訂し,12月までに小規模の研修プログラムを開催する。また,ヨーロッパでVEOを開発するVEO Groupからは,本研究が,日本での最初の活用事例となるため,研究成果について関心を持っていることを聞いている。このため,今後,国際的な授業研究のネットワークへと発展する可能性もある。VEOの活用に関する情報の日本語翻訳についても了承を得ており,ガイドブックに収めていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画と異なり,主に,旅費の執行が執行できていないが,これは,参加予定していた国内学会や研究会の開催日程が,研究分担者の勤務校の公務と重なるなどしたことによる。
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