2019 Fiscal Year Annual Research Report
Current Practices and Issues in Japan's English Curriculum Reforms
Project/Area Number |
16K02978
|
Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
熊澤 雅子 桜美林大学, グローバル・コミュニケーション学群, 准教授 (20386478)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊澤 孝昭 東洋大学, 経済学部, 准教授 (20366933)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 外国語教育 / 教員認知 / 言語教育政策 / カリキュラム改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、実用的コミュニケーション力育成を目指し、過去30年以上にわたって学習指導要領改訂の度に新しい変革が余儀なくされてきた日本の学校英語教育を文脈として、特に中学・高校に勤務する英語教員の実践にどのような変化があるか、またその変化の要因は何であるかを調査することを目的として実施した。初年度は主に文献研究とパイロット調査、2年目はアンケートによる教員の意識調査、3年目は4名の教員へのインタビューと学校訪問を行いデータを収集した。同時に研究成果を学会で随時発表しつつ、文献研究や学会参加を通じて最新の研究動向の調査を進め、また得られたデータ分析を進めながらふさわしい分析の枠組みの検討も進めた。最終年度となる令和元年度は、前年度までに収集したデータを分析した。分析に当たっては、文献調査からCritical Language Policy (Tollefson, 2006)という枠組みを選択し、国家主導の教育改革に伴う複雑な社会的・文化的プロセスが教育の現場にどのように及んでいるかを再検証することを目指した。 データ分析の結果明らかなった主要な知見は、教育改革と教員心理には明らかな距離があり、教員は「他者」から課された教育改革よりも自分に近いステークホルダーのニーズを優先すること、また改革が広がらない要因として学校単位の組織的な取り組みの不在があることである。またその結果から今後への示唆として、学習指導要領と英語教員の心理的距離を埋めるためには、政策決定プロセスの民主化と、改革の実践者である教員及び実践者にとって重要なステークホルダーである生徒が利益授与者となるような政策の策定が必要であること、また日本の中学・高校という組織におけるpowerの構造を、今後の研究によってより深く理解することの必要性を指摘した。 これらの研究成果を学会発表と査読論文の形で公表した。
|