2016 Fiscal Year Research-status Report
近代移行期オスマン帝国の付庸国支配の変容から見る黒海地域史
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16K02995
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黛 秋津 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00451980)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地域研究 / 近世史 / 国際関係史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当研究課題に関する先行研究文献および基礎的史料の収集と分析に重点を置き、主にオスマン帝国側とロシア帝国側の黒海地域支配・進出に関する一次・二次史料を国内のいくつかの大学図書館と海外で行った。特に、旧ソ連外務省編纂の外交資料集 "Внешняя политика России XIX и начала XX века: документы Российского Министерства иностранных дел"をはじめとする刊行された一次史料をある程度入手することができたため、これらの史料の分析を中心にロシアの黒海地域進出過程に関する研究を行い、オスマン帝国のクリミア支配と18世紀後半のロシアのクリミア進出過程の一端を明らかにした。そしてその成果を、ギリシアのテッサロニキで行われた黒海近代史関連の国際シンポジウム "3rd International Congress of Pontic Studies"(於:アリストテレス大学)において報告した。その他、オスマン帝国の黒海東岸地域支配とロシアのカフカース進出過程を明らかにすべくグルジア(ジョージア)のトビリシで史料調査を行い、関連する文献を入手した。 この他の成果として、2017年1月に刊行された『黒海地域の国際関係』(六鹿茂夫編著、名古屋大学出版会)において、第1章「黒海国際関係の歴史的展開――20世紀初頭まで」を執筆し、本研究の成果をも取り込みつつ、古代から第一次世界大戦までの黒海地域の国際関係を概観した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りの調査を実施し、さらに申請時には困難と思われたロシア外交資料集を入手することも出来たため、文献に関しては当初の予想以上のものを集めることが出来た。途中経過ではあるもののこれまでの成果の公表も行い、全体として順調に研究が進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はウィーンとパリで、それぞれハプスブルク帝国とフランスの黒海地域進出に関する資料調査を行い、ヨーロッパ諸国の対黒海地域政策の分析に取り掛かる予定である。
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