2017 Fiscal Year Research-status Report
「インド独立運動における超領域的諸相―「完全自治」の探求と日本―」
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16K02998
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
Bhatte Pallavi 京都大学, 人間・環境学研究科, 特定講師 (30761366)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2021-03-31
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Keywords | インド独立運動史 / 両大戦期 / 汎アジア主義 / オーラルヒストリー / 英領インド / 日印関係史 / ディアスポラ / グローバルヒストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ディアスポラ・トランスナショナリズムの枠組みを用いて、1905 年から 1947 年に至るインド独立運動と日本との関わりを捉え、地球規模で展開されたインド独立運動全体における日本の位置づけを考察することにある。それを通じて、インド独立運動の重層性と多面性、 地球規模の連繋と軌跡の重要な一側面を明らかにすることが最終的な目標である。 研究第二年目の本年度は、イギリス(ロンドン)における第一次・第二次世界大戦期のインド独立運動家関係一次史料の調査・収集と昨年度の研究成果の公開を課題とした。史料収集のために訪問した機関は下記の通り。大英図書館、国立公文書館、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス、オックスフォード大学図書館。この調査において、インド独立運動家に対するイギリス情報組織の活動実態、INA・日本協力関係の構築などに関する史料を閲覧し、一部を収集した。研究成果の公開の面では、リスボン新大学にて開催のヨーロッパ日本研究国際会議において、昨年に初公開された機密解除文書の分析結果とともに「大東亜戦争」と英領インド関係に関する新しい研究視角について提示した。 また京都大学にて開催の国際シンポジウム「第二次世界大戦におけるアフリカ・アジア植民地の動員-兵士・労働者・女性-」においては、戦争証言におけるINAのメモリーをテーマに報告した。さらに、インパール戦跡踏査や東北インド・日本交流事業にも参加し、日印関係史研究の深化に向けた提案について共同報告を実施した。これらは本科研外の活動ではあるが、印日双方の研究交流を通じて得られた成果は次年度以降の本科研の研究・調査にも活用できる有益なものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計5ヶ所の文書館・研究機関における未刊行史料の所蔵状況の概要を把握し、研究遂行において必須の史料を部分的に入手することができたが、限られた調査日程であったため、当初予定した分量を収集ができなかった。また撮影した史料の整理までは終えているが、その処理において課題が残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
文書館ごとに史料の調査・閲覧ルール・条件が異なるため、史料調査に費やすことのできる時間も影響を受ける。今後は調査計画を練り、時間的余裕をもって文書館の未刊行史料の調査・撮影・収集に努める。今年度参加した国際研究集会などを通じて新たに知り合った研究者から、調査に関わる助言を定期的に受ける必要がある。現在までの史料入手状況によって特定文書館の再調査を検討し、今回入手できなかった史料の問題を解消したい。さらに次年度以降は、海外調査のみならず国内調査のほうも集中的に取り組んでいきたい。
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Causes of Carryover |
一次史料や二次文献をはじめとする史料費、史料調査のスケジュールとその時間的制約により、今年度内に支出した研究・調査旅費は当初の予定よりも少額であったため未使用額が生じた。 当該未使用額は今回入手できなかった一次史料の収集に係る諸経費(旅費・史料複写費)、また、複写・デジタル化が高額になる海外文書館所蔵史料のリクエストに使用する。
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