2020 Fiscal Year Research-status Report
「逆説」のミドルマンーコーカサス総督府通訳官と「オリエント」ー
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16K03002
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| Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
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Principal Investigator |
前田 弘毅 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (90374701)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | コーカサス / ジョージア（グルジア） / アルメニア / イラン / 通訳官 / ミドルマン |
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| Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、研究全体のとりまとめとして、主に情報の総合化と英語による（特に現地における）成果の発信に力を注いだ。新型コロナウイルスの蔓延により、直接現地に赴くことはできなかったが、ジョージア／グルジア国トビリシで開催された二つの国際学会で研究報告を行うことができた。テイムラズ一世とエレクレ二世の二人の東ジョージア／グルジアの王の治世に焦点をあてて、近世におけるコーカサス地域王権とイラン・オスマン・ロシア帝国という周辺帝国およびヨーロッパ勢力との関係を取り上げた。その中ではロシア帝国による近代期に入る以前の多民族環境も重要な論点として取り上げた。また、ユーラシア諸帝国を形成した武人集団の活動を比較検討した国内シンポジウムを企画し、その成果を纏めた特集号の冒頭の文章も記した。こうした成果は帝国と地域社会をつないだミドルマンの活動を考え、コーカサス地域の「内的複眼性」をより深く理解するために役立つであろう。このほか、イラン・フーゼスターン地方のジョージア／グルジア人ディアスポラについて小論考を記した。民族混在の状況と帝国の問題を考える上で、イラン・サファヴィー王権の政策についても検討を進めることができた。こうした作業を一層進めることにより、コーカサス地域多民族社会の形成と、さらには現在における複雑なアイデンティティの問題を一層詳しく探求し、本科研の課題である自己認識やオリエント表象の問題について考察を深めることができる。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究は順調に進展しているが、新型コロナウイルスの世界的な蔓延のために、海外での史資料調査と意見交換に大きな支障が生じている。ミドルマンの役割の背景となったコーカサス地域における多民族社会形成については、史資料をもとに具体的な検討を進めることができている。今後は研究のとりまとめと特に英語による発信に努めることと、更なる研究の進展のための現地調査を行うためにコロナ禍が早急に収まることを望みたい。
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究の成果を取りまとめる作業を進める必要ある。その際には国際的な成果還元に努め、英語による論文執筆も積極的に進めたい。また、研究報告については、昨年同様に、オンラインの学会などの機会を利用して進めていく。現地での史資料調査と意見交換については、オンラインでは限界があり、本研究で明らかにできる点について、再度まとめの作業の中で確認をする必要がある。
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| Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの世界的な蔓延によって、海外渡航と現地の史資料調査が不可能な状態が続いているため、研究計画には遅れが生じている。コロナ禍が和らいだ後の海外調査の可能性を探ると同時に、成果を纏めていくために収集資料の整理を一層進めるとともに、英語による執筆なども進めることで、必要な経費を計上していく。
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