2016 Fiscal Year Research-status Report
環太平洋をめぐる商品作物のグローバル・ヒストリー:島嶼植民地の重層的支配の考察
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16K03003
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
飯島 真里子 上智大学, 外国語学部, 准教授 (10453614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蘭 信三 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (30159503)
森 亜紀子 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 研究員 (30772727)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 環太平洋 / 島嶼植民地 / 砂糖 / ネットワーク / 重層的支配 / 日本人移民 / 国際移動 / グローバル・ヒストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である2016年度は、メンバーがそれぞれの対象地域の砂糖生産に関する研究を進め、以下の活動を行った。 (1)資料収集:飯島真里子(代表者)と森亜紀子(研究分担者)はそれぞれ沖縄にて戦前・戦後の沖縄並びに沖縄系移民の砂糖栽培に関する資料、坪田=中西美貴(協力者)は台湾にて日本統治時代の台湾砂糖栽培に関する資料、Martin Dusinberre(海外協力者)は日本外交史料館にてハワイ移民と砂糖生産会社に関する資料を収集した。 (2)国際ワークショップの開催:蘭信三(上智大学)が代表を務める基盤(A)課題番号25245060と共催し、9月15日に国際ワークショップ「移動から問う日本帝国の領域性」を開催した。Jordan Sand教授(ジョージタウン大学)とDavid Ambaras教授(ノースカロライナ州立大学)を講師として迎え、日本帝国の領域性について人・モノ・文化の移動の視点から議論した。本研究テーマである商品作物の移動経路・経験から、帝国の直接的支配ばかりではなく間接的影響を受けた領域についても考察が必要であることが確認された。 (3)研究会の開催:①(2)の国際ワークショップ後にメンバーが研究の進捗状況について話し合った。資料収集も順調に進んでいるとの報告を受け、また今後の分析作業に関しても有意義な意見交換を行った。2017年度の活動予定、2018年度の国際シンポジウムの予定についても日程・内容について話し合った。②2017年3月11日に行われた研究会では、日本帝国における砂糖の消費ルート・方法について外部の研究者から質問があり、本研究を消費・加工の視点からも見ていく重要性が認識された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度の活動に関しては、ほぼ予定通りに進んでいる。同年度は各研究メンバーが、専門地域における砂糖に関する一次史料の収集を行うというのが第一の目的であり、その目的はかなり達成されたといえる。また、本研究チームは海外在住のメンバーもおり一同に会う機会が限られているため、砂糖に関する文献史料リストやPDFで入手可能な論文についてはオンライン・ストアレージ・サービスを活用し文献を共有するようにした。これにより、ハワイ、台湾、南洋、沖縄の砂糖栽培に関する文献に効率的にアクセスでき、メンバーとの共通理解の構築も可能になった。 また、9月15日に行われた研究会において、今後の成果発信(2018年度の国際ワークショップ、2019年度の海外ジャーナルでの特集号の企画)の方法・予定についても具体的に話すことができたため、2017年度から各メンバーが行うべき研究がより明確になったといえる。さらに、国際ワークショップ・研究会の開催により、海外にて日本帝国と移動に関する研究者と意見交換ができたことで、本研究が今後さらに発展できる視点・知見を得ることができた。よって、本研究はおおむね順調に進展しているといえよう。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については以下の通りである。 (1)文献資料収集の継続:引き続き、各メンバーは研究対象地域の砂糖生産に関する文献を収集するとともに、新たに①日本帝国の砂糖消費の実態、②砂糖に関する二次文献(英語、日本語、中国語等)の収集を行う。それにより、砂糖の移動について、生産と消費の両側面からの分析するとともに、先行研究から本研究の位置づけをしっかり行うこととする。 (2)研究会の開催:今後の成果発信(2018年度の国際ワークショップ、2019年度の海外ジャーナルでの特集号の企画)に向けて、9月と12月に研究会を介する予定である。12月に関しては、中華帝国史の専門家と研究会を開催することで、新たな知見を得ることを期待している。 (3)フィールドワーク:飯島(研究代表者)が沖縄とハワイに赴き、戦後沖縄のおける製糖産業に関わったハワイの製糖会社に関する資料を収集し、関係者にインタビューを行う。 (4)国際ワークショップの準備:2018年12月14-15日に上智大学にて行う予定である。2017年度は、ワークショップのテーマ、海外・国内から招待する専門家の選定、パネルの内容について決定する方針である。
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Research Products
(5 results)