2019 Fiscal Year Annual Research Report
Global History of Cash Crops in the Asia-Pacific: Multiple Empires and Insular Colonies
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16K03003
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
飯島 真里子 上智大学, 外国語学部, 准教授 (10453614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蘭 信三 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (30159503)
森 亜紀子 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (30772727)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アジア太平洋 / 近代糖業 / 移植 / トランス・プラテーション / ハワイ / 台湾 / 南洋諸島 / 日本帝国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、十九世紀末から二十世紀初頭にかけて、近代糖業(主に砂糖きび生産)が太平洋地域の島嶼植民地にどのように伝播し、現地社会において受容されたかについて検討した。事例として扱った地域はアメリカ支配下のハワイ、日本帝国下の台湾と南洋である。また、「トランス・プランテーション(移植)」という概念を打ち立て、近代糖業をめぐる移動性・植民地性を同時に検討した。本研究では、「トランス・プランテーション」を、(1)近代糖業の技術移転や苗などの移植の移動プロセス、(2)技術者や経験者の環太平洋を跨ぐ人々の移動プロセス、(3)プランテーション社会という植民地支配システムの移植と定着、を包括する概念として定義付けた。トランス・プラネテーションの概念を軸として、ハワイ、台湾、南洋の事例を検討していくことで以下のことが明らかになった。 1. これまで日本帝国支配下の台湾をめぐる研究においては、太平洋地域の近代糖業の先駆的存在であったアメリカ準州ハワイとの関係は注目されてこなかったが、日米帝国の領域を超えた日本人の移動が植民地台湾の近代糖業の成り立ちに大きく関わってきたこと。 2. 国境を超えた事象を研究対象とするグローバル・ヒストリーの観点から太平洋地域における近代糖業史を検討することにより、製糖をめぐる知識・技術・機械・苗等の「資源(リソース)」の伝播は一帝国内の移動のみで完結していなかったこと。 3. 近年の太平洋島嶼研究においては島嶼間の交易や人流ネットワークが十分に検討されてきたが、糖業の近代化において先発であったハワイと後発の台湾を同時に考察することで、島嶼間のネットワークのみならずパワーダイナミクスが存在していたこと。 4. プランテーション制度に着目したときに、移植先での先住民・先住者と植民者の関係性、土地配分や基幹産業状況が、制度の定着に大きく影響を与えたこと。
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Research Products
(14 results)