2017 Fiscal Year Research-status Report
帝国日本の南方支配をめぐる『グローバル人材』教育にかんする研究
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16K03005
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
大久保 由理 日本女子大学, 人間社会学部, 助教 (20574221)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 南洋移民 / 沖縄 / 拓南訓練所 / 大東亜共栄圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、昨年度実施した沖縄での調査をもとに、引き続き文書資料の収集と分析を行い、さらに2018年3月に現地調査を実施した。また、沖縄調査を含めた南方移民研究について、学会報告および論文執筆を行った。 昨年度は、沖縄県立拓南訓練所の所在地であった金武村(現・金武町)が、沖縄県のなかでも特に移民送出村としての歴史を持っており、そうした背景から県中心部の那覇からは遠隔地となる金武村に訓練所が設置されたことが分かった。また実際に訓練所で補導として中心的役割を果たした人物が、戦後も金武町だけでなく沖縄県議会にも貢献していた人物であることが判明した。これを受けて本年度は、沖縄県立公文書館および那覇市立博物館、琉球大学図書館で自治体史を中心にさらに調査を進め、当時の写真などの資料収集を進めた。また県中部の金武町での調査を進め、訓練所跡や「沖縄海外移民の父」と呼ばれる當山久三記念館を見学した。自治体史編纂を長期にわたり活発に行ってきた金武町史編さん室にて、これまで編纂された町史だけでなく編纂のために集められた新聞記事集成、さらに各区誌を収集した。また聞き取り調査の原資料も確認できた。訓練所の関係者はすでに亡くなり、新たな聞き取り調査は困難であることが分かったが、金武町史編さん室の協力のもとで、その子孫の方々へ聞き取りを今後行う予定である。 2018年度については、再度沖縄の調査を行った上で、研究会等で報告を行い論文執筆を行う予定である。また、当初の予定であった台湾での調査が昨年度は行えなかったため、今年度は台湾調査も開始する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
勤務校の勤務体制および業務内容により、当該研究を行う時間、特に長期出張できる期間がかなり限られている。実際に現地調査は年1回10日ほどしか確保できない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はこれまでの調査や収集資料をもとに、研究発表を行って多方面での意見交換を行い、論文執筆を進める予定である。また台湾調査は期間内に十分に行うことができないため、期間を一年延長して調査を進めたい。
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Causes of Carryover |
予定では、現地調査を年2回、1ヶ月程度を見込んでおり、予算は特に台湾調査において通訳および現地コーディネーターなどの人件費を計上していた。しかし、勤務校の事情により年1回10日程度しか長期出張ができないため、国内の沖縄調査を2回行っただけで、台湾調査ができていない。このため、次年度においては短期間であっても台湾調査を実施し、回数を多くすることで研究を進めたい。
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