2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Study on the training and education for global human resources on Japanese empire's rule of the Southeast Asia
Project/Area Number |
16K03005
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
大久保 由理 日本女子大学, 人間社会学部, 助教 (20574221)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 南方移民 / 沖縄 / 台湾 / 「大東亜共栄圏」 / 拓南 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度においては、一つの共著の出版と、台湾調査および沖縄調査の二地域に関して資料調査や実地調査を進めることができた。 まず、台湾調査では、主として日本国内では散逸してすべて閲覧することが難しい雑誌を中心にサーベイを行なった。また、中央研究院や国立政治大学の研究者と研究交流を行い、台湾からの南方移民について、ジェンダー的観点や戦後への影響についての示唆を得た。 また沖縄調査では、沖縄における「移民送出の町」としての金武町の歴史における県立拓南訓練所の位置づけや、県立拓南訓練所の那覇移転後の調査を行なった。 最後に、戦前の日本の政策移民をジェンダーの観点から整理した共著を出版した。「移民史研究におけるジェンダー」(鳴子博子編『ジェンダー・暴力・権力』晃洋書房、2020年2月)では、日本の政策的移民の出発点を南洋群島移民とし、ブラジル移民、満州移民そして戦時南方移民へと至る政策について、「移民モデル」を軸として比較を行った。この過程で「夫婦一組+一人」をモデルとする移民が南洋群島移民とブラジル移民に共通しており、女性移民が夫婦の一方として必要とされていたこと、満州移民における「大陸の花嫁」政策は、移民政策が国内の過剰人口対策から「民族増強」対策へと目的が変質したことから生まれた特異な政策であることなどを指摘した。またこうした「大陸の花嫁」政策は、南方移民にも実施された可能性があることや、台湾の南方移民政策にも女性移民を訓練する機関があり、「大陸の花嫁」政策に類似する政策があった可能性についても示唆した。 今後は、沖縄の「南方・南洋」移民史における沖縄県立拓南訓練所の位置づけに関する論文を脱稿し、台湾の南方移民調査について台湾の機関と連携して調査を進める予定である。
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