2018 Fiscal Year Annual Research Report
The Archival Studies of Document the Monopoly Bureau of Government of Governor-general of Taiwan
Project/Area Number |
16K03006
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
東山 京子 中京大学, 社会科学研究所, 研究員 (80570077)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 台湾総督府 / 専売局 / アーカイブズ学 / 史料学 / 文書学 / 企業アーカイブズ / 専売局文書 / 台湾総督府文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
専売局における文書編纂規程からは、台湾総督府の本府よりも厳格な文書管理の実態を知ることができた。厳格さを求められた専売局は、台湾総督府の附属機関というだけでなく、台湾各地に工場を持つ大企業の役割を果たすという特異な機関でもあった。台湾の産業を支える樟脳・塩・煙草・阿片の専売を手がけるこの組織は、各業種について、独占企業体としての機能を果たしていた。したがって、台湾総督府の附属機関ではあるものの台湾における主要産業を担う一つの巨大企業としての側面があった。これを文書史料という視点から見ると、企業を経営することは経営方針や経営実態そして業務報告等、通常の行政機関とは全く異なる文書が作成されることを意味していたからにほかならない。現代でいう企業アーカイブズの領域である文書を保存管理することは、企業としての実績を纏めるという意味もあり、報告書や復命書などの調査報告類が多いことや事業や行事単位で纏められていることも一般の行政機関との違いが見えてくる。それが、企業アーカイブズたる専売局文書の特徴の一つでもある。 専売局文書の特徴は、第一に、文書管理に関する規則が、「文書編纂保存手続」という処分終了の文書手続における規程を定めることから始まり、最後まで編纂に重点をおいた文書管理体制であったこと、第二に、編纂完了の文書は、「台湾総督府専売局公文類纂」と称し、編纂前の文書を「文書」とよぶことで、編纂前と編纂後とに名称を分けていたこと、第三に、実務的な機関として、製造、生産、技術、試験、開発、調査、輸出、販売、製品管理等の製造ラインを持った企業組織体の文書であることである。 このように、専売局独自の名称を設けているところに専売局文書の特異性が端的に示されている。台湾の経営を専売局が担っていると認識し、これまで行ってきた行為や樟脳・塩・煙草・阿片などの製造過程をあらゆる面から残そうとしていた。
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