2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03008
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永田 英明 東北大学, 学術資源研究公開センター, 准教授 (20292188)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 雄勝城 / 伊治城 / 駅路 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である平成28年度には、秋田県域および宮城県域を中心に、(1)考古学的成果・出土文字史料に関する情報収集・分析及び現地調査、(2)(1)と文献資料の分析に基づく出羽国における地域間交通の実体的分析を行うことを計画していた。 このうち(1)については、自治体史や発掘調査報告書などの情報を収集・整理し確認作業を進めている。作業は進行中であるがまだ完了はして居らず、29年度にも継続して実施する予定である。予定していた秋田城に関する調査は必ずしも十分に行うことが出来なかったが、一方で、横手市造山遺跡群など天平宝字年間造営の第一次雄勝城の有力な候補地の遺跡群や出土遺物を実見する機会に恵まれ、情報収集をおこなった。 (2)についても、交通機能という視点から雄勝城や伊治城の性格を検討する作業をおこなった。雄勝城の場合は天平九年および天平宝字年間における第一次雄勝城造営計画の特質を、多賀城・秋田出羽柵の連絡のみならず胆沢地方との交通関係にも着目すべき点を整理し、また伊治城については伊治・胆沢間の駅路開設の問題を手がかりに、史料的制約の大きい延暦13年及び20年征夷の実像を伊治城との関わりに注意して捉えなおす必要があることを指摘することができた。あわせて、関連学会等に参加し東北各県の城柵遺跡や出土文字史料に関する最新の情報の入手につとめた。成果の一部は、横手市沼柵公開講座における報告「古代横手盆地をめぐる交通路と政治・社会」(平成28年8月7日 秋田県横手市雄物川コミュニティセンター)、および東北学院大学アジア流域文化研究所公開シンポジウム「伊治城をめぐる交通と征夷」(平成28年9月19日 宮城県栗原市栗原文化会館)において報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関係資料や情報の収集・整理、それにもとづく調査分析活動とも、基本的には順調に進行している。特に年度前半には2度にわたる研究報告の機会を得られ、課題の整理を進めることができた。代表者の異動などにより、年度後半に予定していた現地調査などを十分に実施することができず、この点で若干の遅れを生じてもいるが、29年度の課題として繰り越して実施できる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、初年度に続いて出土文字史料の精査を行うとともに、初年度に十分実施できなかった秋田県域および当初予定の岩手県域をフィールドに、積極的に現地調査や情報の収集分析を進め、研究を進展させたい。その成果をもとに、陸奥国北部における奥羽山脈を越えた地域間交通・地域関係のあり方に着目しながら、分析検討を進めたい。 平成30年度にはこれらの成果を補足する調査をおこないつつ、その成果をもとに論文や著書等の執筆作業を進め、研究成果の整理公表に努める予定である。
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Causes of Carryover |
年度当初予定していた調査について、年度前半に2度、招聘という形で実地見学等を行う機会が別に得られたことと、また年度の後半において、代表者の人事異動などの事情で優先すべき業務が別に生じ、現地調査などに充当できる十分な時間を確保することが難しくなったことから、残額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、28年度に比し本課題に充当する時間を多く確保できる見通しであり、前年度不十分におわった現地調査について、当初計画していた岩手方面への調査とあわせ実施することとしたい。
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Research Products
(2 results)