2020 Fiscal Year Annual Research Report
The concept of "Tenka" in ancient Japan
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16K03014
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
河上 麻由子 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (50647873)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 天下 / 都城 / 仏教 / 転輪聖王 / 阿育王 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、韓国語で「東アジアの轉輪聖王」という原稿を『木簡と文字』に掲載した(論文・雑誌タイトルはどちらも韓国語であるが、記入サイトがハングルに対応していないため和文に直した)。かつて「転輪聖王と梁の武帝」(吉川真司編『日本的時空観の形成』、思文閣出版、2017年5月、489-518頁)では、中国皇帝が仏教を利用して権威を強化するため、仏教における理想的な君主である転輪聖王となった事例を収集・分析した。その際、中国皇帝で初めて転輪聖王となったのが梁武帝であることを指摘した。上記韓国語の原稿は梁武帝の影響を受けたとされる韓国百済の国王について、転輪聖王としての権威獲得を目指したとは言えないことを論じた。武帝は転輪聖王として儒教的な「天下」に君臨したのであり、百済が梁の冊封を受けており、自らは「天下」を領有していないからには、武帝に並ぶ転輪聖王となったはずはない。 本科研採用中の成果を、招待講演で一般に還元する機会は多かったが、新型コロナウイルス流行により国内・国際学会は軒並み延期・中止となったため、学会報告を行うことはできなかった。採用年度は終了するが、2021年度以降にも、科研成果の発信を続けるべきである。 このほか、唐の「天下」が崩壊した後、その強い影響を受け続けた東アジアの周辺国でどのような反応が生じたのかを、文化史の面から分析した「唐滅亡後の東アジアの文化再編」(吉川真司『シリーズ古代史をひらく 国風文化―貴族社会のなかの「唐」と「和」』、岩波書店、2021年、95―150頁)も発表した。 なお今年度は、リストにあげた以外にも「隋の文帝」(妹尾達彦編『アジア人物史 中国 第二巻』集英社、2021年刊行予定)「日中交流史と仏教の伝播」(河内春人編『漢魏両晋南北朝時代の日中文化交流史』、2021年刊行予定)を完成させた。
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Research Products
(7 results)