2016 Fiscal Year Research-status Report
宇喜多能家画像賛にみる戦国期在地勢力の武士化に関する研究
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16K03015
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
斎藤 夏来 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (20456627)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 画像 / 賛 / 宇喜多能家 / 五山 / 岡山藩 / 九峰宗成 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年10月6日に、研究対象としている岡山県立博物館所蔵・国指定重要文化財の宇喜多能家画像および五山僧の著賛について、業者に依頼して高精細・赤外線によるデジタルカメラの撮影を実施した。 あわせて、宇喜多能家画像に付属している近世文書8点の撮影と解読をすすめた。(年未詳、元文期頃)串野権八郎書状、元文元年(一七三六)小堀彦左衛門書付、天明四年頃(一七八四)斎藤清次右衛門(一興か)書状、天明四年(一七八四)斎藤一興書付、文化十二年(一八一五)以前調製か箱書き、文化十二年(一八一五)邑久郷村金左衛門書付、文化十二年(一八一五)邑久郷村金左衛門書付の六点の存在を確認した。とくに年紀未詳四月付の串野権八書状について、関連する地誌類などの検討を進め、元文元年(1736)以前の岡山藩士の書状と確定し、画像伝来の経緯をしるうえで、きわめて重要な手がかりであることを確定した。 ついで2016年10月13日には、画像の旧蔵者である宇喜多家文化財保存会(岡山市東区邑久町)の関係者に聞き取り調査を行った。あわせて、現地に存在する画像伝来にかかわる金石文類について調査した。とくに重要なのが、地誌類で画像の所持者として現れる阿部家の墓地内に存在した文化十五年(一八一八)阿部家墓地所在石塔墓碑銘である。画像の伝来は近世村方の有力者の個人的な力量に依存していたと解釈し得る内容である。あわせて、文献史料としては確認できないが、保存会の方で戦前・戦中期のころまでに言い伝えられていた事柄も確認した。 以上、とくに近世の画像伝来にかかわる事情について、早い段階で論考等で成果を公表 する必要があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に実施を予定していた研究対象である宇喜多能家画像の高精細・赤外線による業者撮影について、所蔵者である岡山県立博物館の協力を得て、順調に実施できた。あわせて、学界未紹介の付属文書の検討を進め、旧蔵者に対する聞き取り調査や、旧蔵地域の調査による金石文の発見や確認など、論考等で公表すべき重要な学術情報を予想以上に収集することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象そのものである宇喜多能家画像の賛について、典拠の確認などを含めた解読作業を進める。あわせて、画像の装束や調度など、描写方法から得られる情報を他の画像等と比較し、室町・戦国期における当該画像の位置づけを確定する作業を進める。 また、初年度に予想以上にさまざまな情報を得られた画像の伝来事情について、論考を早々にまとめるよう努める。子孫の家が残ったわけでもない滅亡大名家の画像が伝来した事情を解明することで、当該画像の位置づけについて、あらたな視点にたった提言を行えると見込んでいる。
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Causes of Carryover |
岡山大学在職時において、岡山の地元資料、具体的には研究対象である画像の旧蔵者周辺の資料調査に力を注いだことが大きな要因となっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
岡山大学から名古屋大学へ転任したため、資料所在地である岡山への旅費が必要となる。とりわけ地元研究会での研究発表を予定している。また、当初予定のとおり、東京など資料所蔵機関への調査も計画にしたがって進める予定である。
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