2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K03020
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
関 周一 宮崎大学, 教育学部, 教授 (30725940)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中世史 / 異国使節 / 大内氏 / 山口 / 赤崎浦 / 赤間関 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、14~15世紀を中心に、来日した異国使節に関する文献史料を収集して多角的に分析し、その成果と異国使節が訪れた現地の景観や考古資料とを突き合わせて、行動した場を復元することを目的とする。 前者の史料収集については、今年度は15世紀前半の日本側史料を中心として、刊本からの収集を継続した。また東京大学史料編纂所において、収集した刊本史料と写真帳との照合を行った。『満済准后日記』や『看聞日記』などの日記類を中心に、主要な史料については、ほぼ照合を終えた。収集した史料の概要を、表に整理する作業を継続している(未完成)。 後者については、高麗朝・朝鮮王朝の使節が頻繁に訪れた大内氏を対象とした、現地調査を行った。大内氏の拠点である山口を訪れ、大内氏館跡および大内氏の菩提寺を対象として踏査した。また館跡から出土した遺物の一部を確認した。合わせて大内氏が朝鮮使節を出迎えた、赤崎浦(山口市。山口の外港にあたる)の現況を把握した。使節が必ず通過する赤間関(現在の下関市)を訪れ、15世紀の朝鮮使節である宋希璟が訪れた阿弥陀寺(現在の赤間神宮)・永福寺・専念寺などを踏査した。 上記に加えて、琉球使節の航路にあたる徳島県の状況を確認するため、中世都市研究会徳島大会に出席した。異国使節が訪れた京都の醍醐寺の史料を確認するため、九州国立博物館で開かれた「醍醐寺展」を見学した。 日本史研究会大会に出席し、本研究と密接な関係を持つ、中村翼「東アジア海域世界の境界人と政治権力―14世紀の分水嶺を考える―」を聞いた。同報告に対する批判を、『日本史研究』第680号(2019年)に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度までに、史料調査の成果の一部を論文にまとめて発表する予定であったが、実現できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)過去3年間の調査成果に、本年度の成果を加えて、論文として発表する。学会における口頭報告を行い、論文を学会誌または『宮﨑大学教育学部紀要』などに発表する。 (2)収集した刊本史料の整理(発表用)と追加の史料収集を行う。 (3)宮内庁書陵部所蔵の「壬生家旧蔵本『宋朝僧捧返牒記』」の調査を行う。 (4)高麗朝・朝鮮王朝の使節が訪れた対馬について、彼らの観察記録をもとに、現地や遺跡・遺物の調査を行う。
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Causes of Carryover |
旅費については、航空機の早割を利用して節約に努めたため、予定よりも低めに収まった。本年度の旅費に組み込んで使用したい。
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