2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K03024
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
服部 一隆 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (20440175)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 日本古代史 / 律令 / 大宝令 / 慣習法 / 天聖令 / 唐令 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)基礎データの作成、(2)大宝令独自性の要因分析、(3)古代における慣習法の解明、という3段階を並行しながら進める。29年度は第1段階(基礎データの作成)としての3年計画の2年目で、(a)法制研究として、律令・慣習法関連文献および史料の収集、(b)実態研究として、一次史料(考古資料・古文書)に分けて作業を進める計画である。 (a)法制研究のⅰ)文献収集は、律令と文献目録については、以前に作成していた田令と昨年作成した賦役令・戸令の文献目録を増補し、収集を行った。天聖令については、中国社会科学院との共同作業で、2017年までのものを完成した。「『天聖令』日本語研究文献目録(2010~2017)」(『法史学研究会会報』21)、「中日學者《天聖令》研究論著目録(日文部分)」『隋唐遼宋金元史論叢』8)として、来年度刊行予定である(前者奥付は今年度末予定)。ⅱ)資料収集は、単行法については、『弘仁格の復原的研究』民部篇を中心に資料収集を継続し「戸籍と土地制度」という原稿を執筆した。令集解は、慣習法史料の収集を継続した。 (b)実態研究のⅰ)考古資料は、集落・生産・条里については「全国遺跡報告書総覧」を利用して、発掘調査報告書の収集を継続し、ⅱ)古文書については、田図・荘園図については、研究協力者によりデータ化したものの分析を始めた。②東南院文書については、大日本古文書の読解を継続した。 大宝令の独自性については、まず昨年度投稿した論文を再検討し、「大宝令にみえる公民制の日本独自規定について―戸令・田令・賦役令の冒頭条文―」として『日本歴史』838に掲載した。ついで戸令・田令について「戸籍と土地制度」を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の作業としては、法制研究として2017年までの天聖令研究文献目録を完成し、大宝令の独自性について戸令・田令・賦役令について分析し「大宝令にみえる公民制の日本独自規定」(『日本歴史』838)の検討を進め、戸令・田令について8世紀初頭の戸籍と天平元年班田を検討した「戸籍と土地制度」を執筆した(入稿済)。 実態研究については、昨年度着手した資料収集は継続しているが、考古資料のうち墨書土器・文字瓦および東南院文書の分析がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
東南院文書の分析・調査および墨書土器・文字瓦の収集を本格化する。法制研究については、慣習法史料の収集を本格化する。戸令・田令・賦役令の分析について、全体的な見通しはある程度立てたので、個別分析を実施してゆく。大宝令の独自性についても『令集解』古記を中心に分析する。
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Causes of Carryover |
書籍を想定よりも安く調達できたため。2018年6月の書籍購入費に充てる。
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