2016 Fiscal Year Research-status Report
中世東国における寺院什物帳(文物台帳)と請来遺物(唐物)の発展的研究
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16K03032
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Cultural History |
Principal Investigator |
古川 元也 神奈川県立歴史博物館, その他部局等, 主任学芸員 (60332392)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中世 / 唐物 / 寺院史料 / 東国 / 宋元 / 東アジア / 什物帳 / 文物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本の中世社会(12世紀半ばから16世紀を措定)に受容された大陸からの請来品、いわゆる「唐物」が、実際にはどのような文物であり、どのような意識を持って受けとめられていたかを明らかにする比較史(資)料論であり、東アジア的視点に立つ文化交流史である。具体的には、中世前期に宋元の文物が移入された東国領域を対象とし、文物台帳としての什物帳を残している寺院史料に検討を加えることにより、当該期における「唐物」の位置づけを明らかにし、同時に種々の請来遺品との比較検討によって具体像を明らかにする基礎的研究である。 研究系計画では、具体的に1.寺院史料の調査研究、2.美術・工芸・考古分野の遺品研究、3.美術・工芸・考古分野の遺品研究(データ集積)からなっており、方法は、実査、撮影、調書作成が主体となる。このうち、1,2については、これまでの応募者(研究代表者)の研究等で端緒が付けられているものもあり、調査の継続が必要なものについては随時実施した。 中世東国領域の寺院史料調査については、史料所蔵寺院との信頼関係も重視しなければならないが、本務である神奈川県立歴史博物館の従来からの関係がすでに構築されている。加えて、東国中世史料の収蔵・保管拠点である神奈川県立金沢文庫には多くの寄託史料が存在し、資料閲覧を行った。 また、美術・工芸・考古分野の遺品研究はそれぞれの研究成果を援用、協業しながらデータ集積に努めたが、上記県立金沢文庫のほか神奈川県教育委員会文化遺産課、鎌倉市教育委員会文化財部、鎌倉国宝館(鎌倉市)の協力を得た。特に、平成28年度には鎌倉国宝館が保管する東国諸寺院の史料群を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
応募者(研究代表者)は平成26年度までの3カ年、科学研究費補助金(基盤研究(c)平成24~26度、課題番号:24520732)「中世鎌倉地域における寺院什物帳(文物台帳)と請来遺品(唐物)の基礎的研究」の交付を受けており、その成果は鎌倉地域を中心とした基礎的研究の成果報告書(264頁)を刊行、配布した。本研究は、この研究成果を東国領域に発展的に広げるものであり、寺院什物帳の分析と寺院伝世文物の関係を追求するとういう方法論を発展的に東国に広げるものである。 計画では、継続的に作業を進めていく予定であったが、平成29年度より研究代表者の所属研究機関が変更になったことにより、その準備などのために時間が割かれてしまった。 具体的には、平成28年度には鎌倉国宝館が保管する東国諸寺院の史料群を検証するほか、関東近県の寺院資料類と伝世文物との関係を明らかにする予定であったが、後者は十分に検証できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究推進の方策のうち、特に考古遺物の場合、参考遺品が量的に多いためデータ集積のための雇用を行う。初年度は神奈川県近県の埋蔵文化財センター等を中心とする遺物(東京、千葉、埼玉、群馬、栃木、茨城の中世寺院、領主居館跡出土遺物で整理済みのもの)および旧職場である神奈川県立歴史博物館寄託貫達人コレクションほかの研究にあてる。比較的単純な作業が多いため大学院生程度の学生を雇用して補助員とする。研究代表者のPCは本務所属のものを用いるが、このPCは据え置きで使用することが義務づけられており、補助員が調査先で入力を行うPCの用意がないため、初年度にそのための経費を計上する。経費が認められない場合には雇用の条件としてPC持参とするが、安全管理上研究実施に制限が加わる可能性もある。大学院生は非常勤出講で関係を有した慶應義塾大学、国士舘大学学生の協力を2名程度予定している。 本研究はすでに応募者の研究等で、史(資)料の所在や調査の方法などついては道筋がつけられており、資金的、時間的な問題が解決されれば研究の深化につながるものである。いわゆる「唐物」については、性質上唯一性があるため安易な代替物(レプリカ等)調査や計画変更はなしえない。また、研究協力者に故障ある場合など短期的にはこれまで所属していた神奈川県立博物館研究員(学芸員)の助力が得られる予定である。 なお、初年度以降各年度に得られた研究成果は、極力学術誌、本務博物館研究報告他の媒体において公刊していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者は平成26年度までの3カ年、科学研究費補助金(基盤研究(c)平成24~26度、課題番号:24520732)「中世鎌倉地域における寺院什物帳(文物台帳)と請来遺品(唐物)の基礎的研究」の交付を受けており、その成果は鎌倉地域を中心とした基礎的研究の成果報告書(264頁)を刊行、配布した。本研究は、この研究成果を東国領域に発展的に広げるものであり、寺院什物帳の分析と寺院伝世文物の関係を追求するとういう方法論を発展的に東国に広げるものである。 計画では、継続的に作業を進めていく予定であったが、平成29年度より研究代表者の所属研究機関が変更になったことにより、その準備などのために時間が割かれてしまった。具体的には、平成28年度には鎌倉国宝館が保管する東国諸寺院の史料群を検証するほか、関東近県の寺院資料類と伝世文物との関係を明らかにする予定であったが、後者は十分に検証できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
特に実施が遅れているデータ集積については、考古遺物の場合、参考遺品が量的に多いためデータ集積のための雇用を行う。初年度は神奈川県近県の埋蔵文化財センター等を中心とする遺物(東京、千葉、埼玉、群馬、栃木、茨城の中世寺院、領主居館跡出土遺物で整理済みのもの)および神奈川県立歴史博物館寄託貫達人コレクションほかの研究にあてる。比較的単純な作業が多いため大学院生程度の学生を雇用して補助員とする。研究代表者のPCは本務所属のものを用いるが、このPCは据え置きで使用することが義務づけられており、補助員が調査先で入力を行うPCの用意がないため、初年度にそのための経費を計上する。経費が認められない場合には雇用の条件としてPC持参とするが、安全管理上研究実施に制限が加わる可能性もある。大学院生は非常勤出講で関係を有した慶應義塾大学、国士舘大学学生の協力を2名程度予定している。
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