2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K03034
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Research Institution | The Niigata Prefectural Museum Of History |
Principal Investigator |
渡部 浩二 新潟県立歴史博物館, その他部局等, 研究員 (20373475)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 佐渡金銀山 / 鉱山技術書 / 佐渡金銀山絵巻 / 採鉱技術 / 間切改め |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度も28年度に引き続き、国内に散在する佐渡金銀山技術書と佐渡金銀山絵巻の調査および画像撮影、入手を手がけた。複数の佐渡金銀山技術書については翻刻作業を開始し、内容・年代等の分析を進めた。結果、これまで19世紀の成立とされてきた採色図入りの技術書「金銀山大概書」(相川郷土博物館所蔵)は、天明7年(1787)の年紀をもつ国立国会図書館所蔵の2巻の技術書(「金銀山見立鋪内之様子稼方并諸道具図」、「金銀山鋪内より出候金銀鏈吹方訳并諸道具之図」)の上巻部分にあたり、その原本の成立が18世紀に遡ることなどが明らかになった。 佐渡金銀山技術書群と佐渡金銀山絵巻群の連関については、採鉱技術、とりわけ「間切改め」(掘削坑道の検査)に関する記述と描写の整合性を検討した。18世紀中期の絵巻と19世紀初期の絵巻の「間切改め」部分を比較すると、そこに立ち合う佐渡奉行所役人に変化が見られるなどいくつかの相違点が確認されたが、技術書からも同様の変化が確認された。ただし、技術書に示された鉱山技術の変化すべてが絵巻に反映されるものではなく、また、変化が絵巻に反映されるのにタイムラグが認められる部分などがあり、詳細は引き続き検討が必要である。 また、佐渡金銀山技術書の分析から、坑道の規模(縦横の寸法)や、「間切改め」に使用される道具などについて明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた佐渡金銀山技術書と佐渡金銀山絵巻の調査および画像撮影が、スケジュールの都合等で一部実施できず、分析作業にやや遅れがあった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度・29年度に引き続き、佐渡金銀山技術書と佐渡金銀山絵巻の調査および画像撮影を進める。そして、基準となる年紀のある技術書の分析を翻刻作業などを通してより進め、年紀のない個々の技術書の内容をそれらと比較して年代を推定し、18世紀中頃から幕末期頃までの100年以上にわたって制作された技術書群全体のなかに位置付け、技術書群の構造を総合的に明らかにする。 佐渡金銀山技術書群と佐渡金銀山絵巻群の連関については、平成29年度は採鉱技術を中心に分析したが、今後は選鉱・製錬・小判製造技術についても検討を進める。
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Causes of Carryover |
平成29年度に予定していた佐渡金銀山技術書と佐渡金銀山絵巻の調査および画像撮影が、スケジュールの都合等で一部実施できず、次年度使用額が生じた。平成30年度の調査・撮影費用として計画的に使用したい。
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