2018 Fiscal Year Annual Research Report
World populace of the outskirts of Edo, a segmental analysis
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16K03038
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 伸之 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (40092374)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 江戸の周縁社会 / 社会=空間構造 / 身分的周縁 / 分節的把握 / 地帯構造 / 民衆世界 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、巨大城下町江戸の南部近郊地帯に注目し、その中で特に旧荏原郡東半域の品川領と六郷領を取り上げ、当該地帯における分節的な社会=空間構造の特質を解明することを主要な課題とする。最終年度の2018年度は、特に研究成果の発表と取りまとめに重点を置き、またこうした地帯構造分析が持つ現代的意義について考究を深めた。 主要な研究実績の内容は以下のようである。 1 品川から大森・羽田の臨海部地帯の構造分析を踏まえ、二つの論考を叙述した。一つは「巨大城下町近郊地帯の海面秩序」(論考1)である。これは貝類と海苔に着目し、江戸内湾の臨海部村落(磯付き村々)における海産物の生産・流通と利権構造を軸として、いかなる海面秩序が形成されたかを江戸商人との関係に注目しつつ検討したものである。(2019年5月に刊行される講座論集で公表予定) 2 二つめは、「海辺の近代化ー江戸(東京)近郊地帯を事例として」(論考2)である。そこでは論考1を前提に、幕末維新期に当該地帯がいかなる変容を遂げ、あるいは強いられた、かを明らかにし、大都市近郊における明治維新の意味合いを問うたものである。 3 以上論考1・2での成果を踏まえて、特に六郷領の置かれた独特の社会構造の解明をめざすことが次なる課題であることが自覚され、またその課題にとってキイとなる基盤的な史料群として、旧八幡塚村鈴木家文書が重要であることを確認し、次期の研究計画を策定した。
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