2016 Fiscal Year Research-status Report
「芸娼妓解放令」と娼妓・芸妓の性と生についての社会史的研究
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16K03041
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
人見 佐知子 岐阜大学, 地域科学部, 助教 (00457029)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 芸娼妓解放令 / 娼妓 / 芸妓 / 遊廓 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、以下の成果を得た。 1.明治5年(1872)「芸娼妓解放令」の歴史的意義を再検討する研究の一環として、東京都公文書館所蔵の「芸娼妓解放令」関連史料のうち、「新吉原類焼一件」(請求番号608.D8.9)の翻刻をすすめ、分析をおこなった。 2.1で得た成果の一部を、Association for Asian Studiesで報告した。本報告では、明治8年(1875)の新吉原遊廓類焼にさいして展開した、仮宅設置をめぐる政府・東京府・新吉原遊廓等の動向を検討することで、「芸娼妓解放令」以降の近代公娼制度確立過程における遊廓社会の歴史的特質の一端を明らかにすることをめざしたものである。 3.山梨県における「芸娼妓解放令」実施状況を明らかにするとともに、娼妓・芸妓にとっての「芸娼妓解放令」の意味を考察した論文「山梨県の芸娼妓解放令と遊女/娼妓」(『岐阜大学地域学部研究報告』(40))を発表した。本稿は、とくに山梨県の新柳町遊廓の遊女「はつ」の経験に即して「芸娼妓解放令」の意義を考察することで、娼妓・芸妓の存在形態と意識構造に注目して近代公娼制度の歴史的特質の解明をめざしたものである。 4.2015年刊行の拙著『近代公娼制度の社会史的研究』(日本経済評論社)にたいする書評へのリプライを執筆した(2017年度刊行予定)。本稿では、芸娼妓解放令の策定意図を解明するための論点を仮説もふくめて示すとともに、近代公娼制度研究の視角と方法についての若干の論点と今後の課題について述べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前課題からの継続課題となっていた東京都公文書館所蔵の「芸娼妓解放令」関連史料の翻刻・分析について、その一部を翻刻し、分析した成果の一部を学会で報告することができた。 2015年刊行の拙著『近代公娼制度の社会史的研究』(日本経済評論社)の成果と課題を整理し、娼妓・芸妓の性と生をめぐる本研究課題の視角をブラッシュアップする作業をおこない、一部を書評へのリプライというかたちで報告した(平成29年度刊行予定)。 娼妓・芸妓の性と生をめぐって、娼妓(遊女)の経験から「芸娼妓解放令」の歴史的意義を明らかにした論考を発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き娼妓・芸妓の性と生をめぐる史料を収集するとともに、収集史料を翻刻し、先行研究から得た問題視角にもとづいた分析をすすめる。史料の翻刻(データ化)作業については、古文書読解能力をもつ協力者の支援を得ておこなう予定である。 今年度は、民事判決原本(国際日本文化研究センター所蔵)の娼妓・芸妓関連判決例を中心に、稼業契約の内容、娼妓・芸妓の「労働」実態、娼妓・芸妓と楼主・女衒の関係、娼妓・芸妓と「家」の関係といった観点から、娼妓・芸妓の存在形態と意識構造、行動の解明をめざす。あわせて、男性遊客の遊興実態や意識構造についても考察したい。 研究成果は、適宜学会・研究会等で報告するとともに、論文化する。また、学会や研究会に積極的に参加し、適宜視点や方法の修正をおこないつつ研究をすすめる。
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Causes of Carryover |
海外出張(カナダ)が年度末に予定されており、出張旅費を概算で確保していたため差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費等にあてる予定である。
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Research Products
(2 results)