2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K03048
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河西 英通 広島大学, 文学研究科, 教授 (40177712)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社共合同 / 人民民主主義 / コミンテルン批判 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の2年目は、日本共産党および日本社会党の内部資料を手がかりに、社共合同運動の内在的な進展状況を検討した。 分析・調査の対象となったのは、1年目と同様に共産党の『赤旗』『アカハタ』『前衛』および『戦後日本共産党関係資料』、社会党の『社会新聞』『社会思潮』および森戸辰男関係文書(広島大学文書館所蔵)を検討することで、全国的動向を整理した。 資料調査は青森県、秋田県、岩手県、宮城県、福島県、山形県の東北各県および北海道、長野県で行った。青森県では運動関係者宅における資料調査・インタビュー、および県立図書館所蔵の青森県労働文庫の調査を行い、新出資料の分析を行い、全東北の動向にも新たな見地を得ることが出来た。秋田県・岩手県・宮城県・福島県・山形県では当該期の新聞史料(『秋田魁新聞』『新岩手日報』『河北新報』『福島民報』『福島民友』『山形新聞』など)の調査を行うとともに、福島大学松川資料室では当該期におこった松川事件・平事件に関する資料調査を行った。北海道では『北海新報』『トラクター』、長野県では『信濃毎日新聞』の調査を行った。 これらの作業と並行して、1年目と同様に①社共合同関係記事のデータベース作り、②『赤旗・アカハタ』の社説リスト作りを進めた。なお2年目に実施を計画していた国立国会図書館および法政大学大原社会問題研究所における調査は、上記の地域資料調査が重なったため、3年目に順延することとした。 以上の研究を通して、日本における社共合同運動が各地の多様性を孕んでいたと同時に、その位置づけをめぐり不均等に発展していたことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究期間第1年目の作業(①日本共産党および日本社会党のメディア・史料の分析、②青森県のメディアの分析など)を踏まえて、第2年目では①共産党・社会党のさらなるメディア分析、②青森県以外の東北各県はもとより、北海道・長野県における資料調査の進展、②運動関係者宅での資料調査およびインタビューなどを行うことが出来た。とくに重要な点は、青森県立図書館所蔵の青森県労働文庫に収められている関係資料を発掘した点である。同文庫はこれまでも知られていた資料群だったが、詳細な調査はされてこなかった。今回の調査で『戦後日本共産党関係資料』にも収集されていない社共合同運動関係資料を見つけることができ、新聞・雑誌などのメディア分析を越える視点を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目の課題としては、第1年目および第2年目に実施した作業を整理するとともに、第一に国立国会図書館および法政大学大原社会問題研究所における資料調査を行う。第二に地域資料調査を茨城・香川・鳥取の各県で取り組みたい。第三に研究成果を早急にまとめて出版する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)当該年度最終時において物品を購入したが、未支出額1円を残してしまった。
(使用計画)次年度に1円を物品費に繰り越し、残額を出さないよう留意する。
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Research Products
(8 results)