2018 Fiscal Year Annual Research Report
The overall studies about entrepreneur's networking in modern Japan
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16K03067
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Research Institution | Kitakyushu Museum of Natural History and Human History |
Principal Investigator |
日比野 利信 北九州市立自然史・歴史博物館, 歴史課, 学芸員 (90372234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 尚史 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (60262086)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 企業家 / ネットワーク / 地方財閥 / 安川敬一郎 / 麻生太吉 / 安川・松本家 / 筑豊 / 石炭 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の基礎となる史料について、安川家資料の追加分(第3次受入分)の整理を行い、主たる検討対象の安川家資料と松本家資料の全体像を明らかにすることができた。安川家資料については、平成17~18年度の研究成果報告書に第1次受入資料(古文書)、平成24~26年度の研究成果報告書に第2次受入資料(美術品=書画)、今回の平成28~30年度の研究成果報告書に第3次受入資料の目録を収録した。 また麻生家文書について、これまでは手付かずだった「未整理」の資料群について、概要調査を行い、目録を掲載した。ここに初めて、稀有な質量を誇る麻生家文書の全体像が明らかになり、今後のさらなる活用の可能性が示された。以上が本共同研究の第一の成果である。 第二に資料調査や各自の研究の成果を「研究成果報告書」にまとめた。具体的には、まず安川・松本家の事業や経済に関わる研究成果として、第一次世界大戦後の安川敬一郎の事業活動と資産運用、その中でも重要な九州製鋼(中国の漢冶萍公司との合弁企業)について、当時の製鉄・鉄鋼業の動向や再編に即して検討した。次に安川・松本家や麻生家の地域政治に関わる研究成果として、明治末年の遠賀川改修問題を軸に筑豊炭鉱家の政治的ネットワークを検討し、さらに安川の旧福岡藩士としての意識と人脈に注目し、安川の政治活動と福岡市政との関わりについて検討した。さらに企業家の文化活動という観点から、安川が並々ならぬ意欲で取り組んだ能楽について、指導者的存在の回顧文を手掛かりに検討した。 以上をとおして、主題である「企業家のネットワーク」の多様なあり方や表現、また動態について、従来の研究にはない方法と内容で切り込み、豊富な資料群の存在にも支えられて、今後のさらなる研究の可能性を提示することができた。
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