2016 Fiscal Year Research-status Report
近世中国の「科挙」と「官僚制」に関する史料と西洋知識人の情報源に関する研究
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16K03070
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大野 晃嗣 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50396412)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中国史 / 科挙 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(平成28年度)は、ヨーロッパに現存する科挙等に関わる一次史料調査として、イタリアのベネチアにある国立マルチャーナ図書館(Biblioteca nazionale Marciana)、及びオランダのライデンにあるライデン大学(Universiteit Leiden)、そしてリトアニアのビリニスに位置するビリニス大学(Vilniaus universitetas)に赴いた。とりわけ、国立マルチャーナ図書館においては、最も古い蔵書目録の閲覧を中国書籍担当のOrfea Granzotto先生から許可され、その上で希望した漢籍、古文書などを実見し、更には所蔵に至った歴史的経緯及び所蔵状況の概略を教示していただく機会に恵まれた。その結果として、16世紀東アジアの国際状況、特に明朝と日本、及び東南アジアに関する極めて重要な一次史料(古文書)を発見することができたことは大きな成果であった。一方で科挙に関するものはほとんど存在していないことも確認することができた。このことは来年度以降の調査に一つの示唆を与えた。ライデン大学において清代の朱巻を発見したこと、また両機関ともに、近世東アジアと早くから交流を持った国を代表する蔵書機関であることを考慮すると、各国の蔵書機関の歴史において、どのような人物、また階層・職業の人間がその蔵書形成にあたって関わったのかを事前に把握することは、調査の効率化に大きく関わる。来年度移行はこのことを念頭に置き、蔵書機関の選別をより丁寧に行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所属機関である東北大学と強い関係にある各国の大学の先生方の協力を十分に得られたこともあり、訪問先の所蔵機関が閲覧に関して想像以上に便宜をはかってくれており、問題は生じていない。
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Strategy for Future Research Activity |
プログラム計画時点で念頭においていた、科挙等に関するヨーロッパ現存の近世東アジア関係史料調査に関して、先方から速やかに快諾を得られたこともあり、研究を進めることができた。一方でそちら側に時間と経費を費やしたため、国内にある蔵書目録の把握は後回しになっている。両者をバランス良くすすめながら、機会を逃さないように一次史料の発見と精読につとめたい。
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Causes of Carryover |
前倒し支払い請求が生じた事由は、所蔵機関への閲覧許可が早期におりたため、それを遂行するための旅費である。この際の旅費が厳密な数値として未確定であったため、大凡の額としてきりのいい30万を申請した。その旅費が精算された結果423円が次年度使用額として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の調査のための旅費に充てる。
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Research Products
(2 results)