2018 Fiscal Year Research-status Report
清代モンゴルにおける駅站システムの運用実態とその政治・社会史的意義
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16K03071
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中村 篤志 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (60372330)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | モンゴル史 / 清朝 / 駅站 / 行政文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、清代モンゴルの駅站に注目し、満洲語・モンゴル語の行政文書および実際に駅站を往来した人々の日記などを収集・分析し、当時の駅站の運用実態、個人レベルの体験と認識の変化などを解明することで、駅站を介した人や情報の移動がモンゴル社会に与えた影響とその歴史的意義について考察する。 本年度は2018年3月下旬より約半年間モンゴル国で調査・研究に従事した。特に、モンゴル国立中央文書館に所蔵されている膨大な駅站関連文書を調査し、その全体像を把握することができた。各級監督官庁で作成されていた文書の種類、作成年代、駅站を巡って現地社会で起きていた諸問題など、従来ほとんど研究されていなかった駅站の運用実態について新しい知見を得ることができた。 また、当初予定していなかったが同中央文書館などに所蔵されている地図史料についても収集・分析することができた。近年、清代モンゴルの地図史料に関する研究が進んでいるが、本格的に駅站研究に用いられたことはなかった。これら地図史料の分析結果を、上記の文献調査の成果さらには現地での聞き取り調査の成果などと相互に比較することで、より多角的に駅站を分析することが可能となった。 その成果の一部は、さっそく国内・海外の学会で報告する機会を得たほか、論文2編にまとめ、うち1編は現地研究者との共著論文として投稿することができた。これらの発表成果はまだ一部に過ぎず、予想以上に史料が集まり論点もさまざまに広がってきたことから、研究期間をさらに延長することで、より充実した成果の公開を目指すこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、従来ほとんど調査されていなかったモンゴル国立中央文書館の駅站関連史料を体系的に調査することができたほか、地図史料など幾つかの重要史料を収集することができた。それらはまだ一部しか整理できていないが、現時点での成果を国内外の学会で発表し、論文として公開することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度になるため、成果のとりまとめを意識したい。今年度収集した膨大な史料・データの分析を最優先で進め、その成果を国内外の学会で発表し、論文にまとめる。さらに、それらの成果を単著にまとめられるよう体系的な分析を進める。
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Causes of Carryover |
理由:今年度前期に収集した史料が膨大で、主にその分析に時間を割いたため当初予定していた史料調査を次年度に延期した。次年度は、既収集史料の分析を急ぐとともに、国内外の多種多様な文献と比較検討するために史料調査を行う必要がある。 使用計画:基本的には国内外の史料調査および成果発表のための旅費に充てるが、研究の進展状況に応じて図書購入や謝金に充当し調査の効率化を図る。
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