2016 Fiscal Year Research-status Report
盛京旗人官僚社会の変化からみた清代洋務運動期マンチュリアにおける歴史的変動
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16K03076
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| Research Institution | Kanazawa University |
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Principal Investigator |
古市 大輔 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (40293328)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 東洋史 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は，マンチュリアにおける旗人官僚社会の変化，特に旗人科挙官僚とその家族の人的ネットワークの構築における変化に注目して，洋務運動期のマンチュリアにおける歴史変動を解明することを試みるものである。清朝によるマンチュリア統治とその統治に実際に関わっていた盛京出身の旗人官僚社会との間にはいかなる関連性があるのか，また，この時期に形成された盛京官僚社会がその後の近代マンチュリアの地域社会の形成に如何なる影響を与えたかといった観点から，清代マンチュリアの歴史変動を論じることを目的としている。
本研究課題の1年目にあたる今年度には，まず，洋務運動に携わっていた旗人官僚とその家族の一例として，清代後期に高級官僚として活躍した崇實とその出身氏族である完顔氏を採りあげ，その歴史に関連する記事を，主として公刊されている年譜や文集，さらには科挙合格者名簿（同年歯録）などから抽出し，それらの史料の内容分析を行った上で，完顔氏のなかの親族関係や，崇實の子弟と婚姻をおこなった一族との姻戚関係とその特徴について論じ，その内容の一端を「崇實の二子とその妻・姻族について―同年歯録にみる清代後期完顔氏の姻戚関係の一齣―」と題した文章として発表した。
次に，これに並行して，現在所属する研究機関（金沢大学）に既に所蔵されているいくつかの年譜や文集などから，別の盛京出身の旗人官僚とその一族に関連する諸記事を抽出し，それらの記事の内容分析を進めた。また，日本国内（国会図書館・東洋文庫・京都大学人文科学研究所など）及び台湾（国立故宮博物院図書文献館など）に所蔵されている，旗人官僚の親族関係や姻戚関係などを記した未公刊の史料（同年歯録・伝記原稿など）を併せて調査し，それらの史料を複写・書写することによって入手し，上記と同様の方法で諸記事の抽出と内容分析を開始したところである。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究計画として掲げていた，清代後期の盛京旗人官僚とその家族に関する諸記事の抽出と内容分析を行い，その作業に基づいて清代後期の盛京官僚社会のありようの一端を明らかにして、研究成果としてそれを発表することができた。また，現在所属する研究機関（金沢大学）のみならず，日本国内及び台湾に所蔵されている未公刊史料も調査でき，そのなかの諸記事の抽出や内容分析も開始した。以上の理由から，概ね順調に進展していると判断する。
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| Strategy for Future Research Activity |
次年度も今年度に引き続き，盛京出身の旗人官僚とその家族について記された記事を様々な史料から抽出し，それらの記事の内容分析を進めていく予定である。また，それらの記事の内容分析に基づき，盛京旗人官僚の社会的戦略の動機やその特徴についての検討も開始したい。
さらに，次年度は中国大陸に所蔵されている未公刊史料も併せて調査し，それらを複写等によって入手しつつ，今年度と同様の方法によって，関連記事の抽出・内容分析を行うつもりである。その際には併せて，可能な限り，盛京旗人官僚家族とその歴史に関する史跡等についての視察も行いたい。
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