2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Historical Study on the Formation of Karen Ethnicity and Its Ethnic Problem in Myanmar
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16K03082
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池田 一人 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (40708202)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ミャンマー / カレン / 民族問題 / 民族 / 史観 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題「ミャンマーのカレンを事例とした民族生成と民族問題化の過程に関する歴史研究」については、①「カレン」をめぐる民族生成と民族問題化の史的過程の素描、②19世紀の「カレン」諸宗教運動の展開と相互関係の解明、という2つの具体的課題を設定している。3年計画の最終年度の30年度は、英国への史資料調査を行って①と②両方に取り組むこととした。 3月の調査は8日から23日にかけておこなわれ、第一にロンドンの大英図書館にて、従来から行っている19世紀から20世紀にかけてのテナセリム地方統治関係の行政ファイルと1930年代から40年代にかけて辺境地域行政について行政文書にくわえて、40年代後半の独立交渉期の在ラングーン政庁における行政文書、50年代のカレン州設立関係の行政文書についても探索と閲覧、撮影を行った。 3年間の研究により、第一課題の「カレン」をめぐる民族生成と民族問題化の史的過程については、とくに英国植民地行政とビルマ・ナショナリズム運動内での「カレン」実体化に関する具体的な史資料を数多く入手できた。その一部を利用して、「ミャンマーにおけるカレン民族問題の起源とタキン史観に関する覚書き」(『Ex Oriente』2017年3月)に先行的にまとめた。民族化と民族問題化の歴史過程については、1950年代のカレン州設立過程についても史資料を入手しえたので論文化を目指す。 第二課題の19世紀の「カレン」諸宗教運動の展開と相互関係の解明であるが、こちらは大英図書館所蔵史料をある程度収集しえた。これに加えて、現地調査で得たヤンゴンのカレン寺院・僧院縁起などの史料とともに、カレンの諸宗教運動における仏教の動向を中心に据えながら分析をすすめて論文化を目指している。この研究はさらに、ラカインの民族・宗教との比較研究に発展している。
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