2019 Fiscal Year Annual Research Report
Mongolian social history in Ch'ing period which is to be resolved from observation of crimes and judgments
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16K03084
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
萩原 守 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (20208424)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | モンゴル法制史 / 清朝蒙古例 / 裁判 / 社会史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、モンゴル国立古文書館所蔵の歴史史料を調査・使用して犯罪と裁判から見た清代モンゴルの社会史を解明するという目標を持つ。 この内、歴史史料の調査に関しては、2019年度は大成功を収めたと言って良い。9月の調査によって、殺人犯オドセルが監禁されていた19世紀末のフレー(現在のウランバートル市)監獄(未決監、拘置所)の管理運営に関する詳細な史料が大量に発見できたのである。これらの史料は、今回の科研には活かせないが、今後の研究に大きく役立つこと請け合いである。また、念願であった『清朝後期理藩院満蒙文題本』が出版されて、本科研費で購入することができたので、次回の科研研究は、ほぼ成功間違いなしという段階にまで持っていくことができた。 研究成果の公表に関しても、収穫があった。2018年度初めに投稿していた論文2点の内の「清代モンゴルにおける犯罪者の捕獲期限」が2019年6月になってようやく『法制史研究』68に掲載され(日付け上は2019年3月30日発行)、もう1点「オドセルとナワーンの事件(一八七七年)から見る清代のモンゴル人社会」も、2020年2月になってようやく『中央アジアの歴史と現在』(勉誠出版、アジア遊学243)に掲載された。さらに2019年度に入ってから投稿した「清代モンゴルにおける人身売買規制法」も、2020年1月にようやく『東方学』139に、無事掲載された。 これによって、本科研で研究を進めてきた専門論文3点は、何とか最終年度の内に掲載する事ができたのであるが、なおもう一点、「ダシジドの事件における人身売買問題」に関する論文は、著者とは無関係の諸事情でまだ出版のめどが立たず、それらの遅れに伴って、最終年度内にめどを立てるつもりであった単著の概説書も、次回の科研に先送りするしか方法がなくなってしまった。次回は、ややテーマ設定を変えて、研究を継続していきたい。
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