2019 Fiscal Year Annual Research Report
Women in the Sumerian Early Dynastic Period: From the Perspective of Economic Analysis Related to their Religious Activities
Project/Area Number |
16K03095
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
唐橋 文 中央大学, 文学部, 教授 (80453679)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シュメール語 / 初期王朝時代 / 宗教祭儀 / ジェンダー / 経済活動 / 女性史 / 古代オリエント |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)電子データの入力:シュメール初期王朝時代のラガシュ文書(紀元前3千年紀後半)から抽出した人名のデータ化を継続した。研究期間中にラガシュ文書全てをカバーすることはできなかったが、申請者のテーマに必要な文書グループの資料はデータベース化を終えた。国内の他の研究者たちがこのデータベースにオンラインで自由にアクセスできるよう、ファイルメーカーに入れた情報をエクセルの表に置き換える工夫をしているところである。 (2)報告書作成:2017年に申請者が主催した国際ワークショップ「古代世界における女性の宗教的・経済的役割」で発表された論文を基盤研究Cの報告書としてまとめた。これらの発表原稿を「女性、宗教、経済」を扱う論文集としてDe GruyterのシリーズStudies in Ancient Near East Recordsから出版するため、2020年2月にコペンハーゲン大学の研究者と編集作業を行った(2020年12月出版予定)。 (3)研究発表と論文執筆:2019年4月にベルギーのゲント大学で開催されたジェンダーをテーマとするワークショップに参加し、シュメール初期王朝時代の女性供物奉献者を扱った"Female Mashdaria-Gift-Givers in Presargonic Lagash"を発表した。女性の供物奉献者は都市国家ラガシュのエリート層に属し、同様にエリート層に属す男性の妻という身分を持つ。これらの女性奉献者たちの数は男性の6分の1にも満たないが、それぞれ自分の経済的基盤を持っていて(耕作用の借地を保有する等)、そこからの収入を用いて羊や山羊、ビールなどの奉献物を調達したことが文書から読み取れる。彼女たちは夫の代理として奉納していた訳ではない。現在、この発表論文をもとに「女性のエイジェンシー」の観点からバルセローナ自治大学の研究者と共同で新たな論文を執筆している。
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Research Products
(5 results)