2018 Fiscal Year Annual Research Report
An attempt to clarify regional formation in the Lower Reaches of the Yellow River in Han era : An approach from Han Dynasty Funerary Art
Project/Area Number |
16K03097
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
菅野 恵美 関東学院大学, 社会学部, 准教授 (10458739)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中国漢代 / 墓葬装飾 / 画像石 / 黄河下流域 / 漁具 / 魚伏籠 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国漢代の黄河下流域は、多様な豪族集団を内包し、漢帝国の支配の一つの類型を示した地域である。研究の目的は、この地域で大量に出土している漢代の墓葬装飾(画像石など)を歴史資料として利用し、地域の形成や地域間の影響関係を視覚的に明らかにしようとするものである。そのためには、この地域の多様な自然環境を示す水利・生業などの地域性の強い図像から考察する必要がある。水利・生業に関する図像として相応しい図像が漁撈図である。黄河下流域の画像石には漁撈図が描かれることが多く、環境や生業など多様な情報が含まれている。このうち、漁具は漁法とその背景にある生業が想定できる道具であり、漁撈図における漁具を検討することで、地域的連続性や特性が理解できると考えた。 今年度は漁具を大きく刺突具・網漁具・釣漁具・その他に分け、古典籍の中での具体的名称と画像での描かれ方を突き合わせて検討した。結果として、黄河下流域の画像石に見える漁撈図には、実に多様な漁具が詳細に表現され、とりわけ魚伏籠が特出して描かれていることが分かった。特に文化人類学における漁具の研究成果を応用すると、魚伏籠の存在は、これに繋がる漁具と漁獲施設の存在を示す。また、描かれた漁具や漁法は農業と結びついて形成されてきたものであり、定住した農民や漁民の内水面における道具である。よって、この地域では漁撈・農耕・水利が結びついた複合的な生態と技術の伝播が想定できることが指摘できた。
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