2018 Fiscal Year Annual Research Report
An Comprehensive study of the Castle in the Mongolian Period and Central Asia's trade routes in the 5th and 7th centuries
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16K03099
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
中田 裕子 龍谷大学, 農学部, 講師 (70598987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村岡 倫 龍谷大学, 文学部, 教授 (30288633)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 東洋史 / ハルザン=シレグ遺跡 / 高車 / 柔然 / 農耕地 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、モンゴル国西部アルタイ山脈北麓のゴビアルタイ県のシャルガ郡に位置するハルザン=シレグ土城とその付近において大規模な農耕地跡が発見された。この地は、まず2001年に日本・モンゴル両国による共同調査が行われ、屯田地である可能性が指摘された。さらに2014年度に行われた発掘において、モンゴル支配以前の層と見られる部分から木片と骨片が出土し、C14年代測定により5、6世紀時代のものであることが判明した。 これらの調査結果より、この地が大規模な屯田であったこと、さらにすでに5、6世紀から人々が居住し、農耕が行われていた可能性が考えられ、本科研費補助金によって、発掘調査が行われた。その結果、2016年9月の調査では、モンゴル帝国時代に作られた等身大の仏像の一部と思われる足と手が発見され、C14年代測定による分析結果から、13世紀後半に作成されたものであることが判明した。この時代に作成された仏像の発見は希であり、2017年にモンゴルと日本で記者会見を行った。その後、2017年9月に仏像の切り出しと保存、更に現地の発掘をすすめ、2018年度は切り出した仏像の展示をおこなった。 上記のように、ハルザン=シレグ遺跡は、チンギス・ハン時代には仏像をともなった宗教施設が存在する聚落が存在した事が明らかになった。この仏像は、当時のモンゴルでは仏教が信仰されていなかったことから、現地に居住していた漢人のためのものであったと考えられ、モンゴルは漢人たちの信仰を尊重したということが証明された。また8世紀時代の陶器片なども多数発見されており、モンゴル以前よりこの地に聚落があったことが明らかとなった。残念ながら、本科研費における調査では、5、6世紀時代の遺物は発見できなかったが、前段階の調査でその時代の遺物が発見されていることから、その時代より人々の居住する聚落が存在していたことが考えられよう。
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Research Products
(6 results)