2018 Fiscal Year Annual Research Report
A basic study about the "fake" Dunhuang manuscripts
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16K03101
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Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
山口 正晃 大手前大学, 総合文化学部, 准教授 (60747947)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 李盛鐸 / 収蔵印 / 偽印 / 敦煌文献早期流出品 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績としては、2018年11月に中国・浙江大学にて開催された「唐史学会」において、「杏雨書屋與天津市藝術博物館所藏《大乘無量壽經》冩本札記」と題して本研究の成果の一部を報告した。その内容の概略は、日本の杏雨書屋に所蔵される2点の「大乗無量寿経」の写本が、天津博物館に所蔵される1点の同写経を挟んで接合すること、また杏雨書屋本の1点および天津本には李盛鐸の収蔵印が捺されていることを指摘し、さらに杏雨書屋所蔵のものについて実見調査を行った結果、この収蔵印は夙に指摘されている偽印と合致する可能性が極めて高いことを確認した。結論として、これらは早期(おそらく1940年代以前)に民間に流出した敦煌文献の一部であり、流出後に何者かによって切断され、その後に偽印が捺された蓋然性が極めて高く、したがって印は偽印であるが写本そのものは真作と認められる、ということになる。またこの報告の後、学会の縁故で天津博物館に紹介していただき、2019年2月28日~3月1日の2日間にわたって天津博物館所蔵の当該写本を実見調査した。その結果、当該写本と一括して所蔵番号が付される(したがって原所蔵者が一括して入手したと考えられる)他の7点の写本のすべてにも李盛鐸の収蔵印が捺され、それら全てが偽印であること、また一部は写本そのものも贋作であることの可能性を確認した。これらの研究成果については現在、鋭意執筆中であり、本年度中の公刊を目指している。 尚、昨年度と同様、本研究の「真贋判定」には直接関わらないものの、本研究を推進するうえで得た知見をもとに、いわば副産物としての研究成果を「仏名経類と三階教の関係」と題して、日本仏教史学会の学術大会(2018年11月、於佛教大学)において報告したことを付記しておく。
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Research Products
(2 results)